Rin     145

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Rin     145

「今日は俺が先、ね? 保科くん」  秋川先輩の力強い腕が身体に回されて、ぎゅうっと抱きしめられながら耳元で囁かれた。 「……っっ」  息が止まって身体中から汗が噴き出す。  耳……あっつい……っっ 「…あ……っ」  くび……っ  ちゅって首に口付けられた。  汗、すごいのに 「…せんぱ……っ」 「ん?」って言いながら秋川先輩が僕の首にキスを繰り返す。 「ぼく…あせ……っ」 「…ああ、俺は全然気にならないけど……。いやでも俺も汗すごいな。シャワーする? ……一緒に」  今度は耳たぶに、ちゅって口付けられる。 「…あ……」 「そうしよっか。ね?」 「え、あ……っ」  突然秋川先輩にひょいと抱き上げられた。 「はは、やっぱ軽いね保科くん。俺初めてしたよ、お姫様抱っこ」  抱き上げた僕をじっと見つめながら先輩が言う。 「ぼ…僕も初めてされました……」 「そっか。また保科くんと初めてのことしたね」  先輩が嬉しそうに笑うから、僕もすごく嬉しい。  僕を抱いたまま秋川先輩がゆっくりと歩き始める。 「あ、ミルク、ココア、足にジャレるなよ? 危ないから」 「にゃあ?」  その鳴き声が、ちょっと不満そうに「なんで?」って言ってるように聞こえた。  先輩の首に腕を回してしがみついて、ちょっと下を覗くとココアの金色の目と目が合った。 「……ごめんね?」  言う? 言わない? ……言う。 「先輩は……僕のだから」  そう言いながら、秋川先輩にぎゅうっと抱きついた。 「…う、わ……っ、やば……っ」  上擦った声で呟いた秋川先輩が、僕に額をくっつけて深く息をついた。  そしてまた歩き出す。  肘でパンと明かりを付けて、洗濯機が置いてある脱衣所に入った。 「保科くん、下ろすよ?」 「はい」  って応えて、でも離れるつもりはなくて、足を下ろされても背の高い秋川先輩の首にぶら下がるように抱きついていた。先輩が僕をぎゅうっと抱きしめる。 「……あ……っ」  パーカーの裾から、先輩の大きな手が入ってきて(まく)り上げていく。腕を上げてるからスルスルと脱がされてしまう。顔を撫でるように頭をパーカーから抜いたところで、ちゅっとキスをした。 「保科くん、一回腕、離してもらえる?」 「ん……」  そう言われて片腕だけ離した。秋川先輩がクスッと笑って、外した方の腕からパーカーを脱がしたから、その腕を先輩の首に戻して反対の腕を離す。  だってずっとくっついていたい。 「……かわいいなぁ、ほんと」  少し掠れた声で呟いた秋川先輩が、僕をぎゅうっと抱きしめてくれた。  素肌に先輩の腕の感触。髪に額に優しい口付け。 「ちょっとごめんね」  そう言って秋川先輩が自分のTシャツに手をかけたから、僕は先輩の首から手を離して(あらわ)になったお腹に腕を回した。 「…先輩、お腹カッコいい」  この前は言えなかった。 「そう? ありがと」  ふふって笑って、Tシャツを脱いだ先輩が、また僕を抱きしめてくれる。  汗ばんだ素肌同士がぺたっとくっつくのが、不思議なほど心地いい。 「……保科くん、キスしよっか……」  耳元で囁かれて、ぞくっとして顔を上げた。  大好きな秋川先輩が僕を見下ろしてる。  格好いいからずっと見ていたいけど、目を閉じたらキスしてもらえる。 「やっぱめっちゃ可愛い……」  掠れた呟きごと唇が触れた。舌と舌がざらりと触れ合う。先輩の大きな手が背中を撫でて、僕と先輩のお腹の間に入ってくる。  ぼく…も……  先輩は片手で器用に僕のズボンのボタンを外しちゃうけど、僕はムリだから両手で。キスしながらで見えないけど、なんとか外せた。  先輩の手が下着の中に入ってくる。熱い手のひらが汗で湿った肌を撫でて、服を脱がそうとしてる。  全部脱ぐのは……初めて……
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