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 でも、僕らのチームは残念ながら負けてしまった。  僕は背中にボールを当てられて、眞美ちゃんはボールを取り落としてアウトになった。  相手が2年生だったし、まあしょうがないかなって思ってたら、そのすぐ後にバスケのゲームが始まった内野たちは、前半2年生と同点で競り合ってた。コートチェンジして後半、まだ点が入らない。相手の2年生のぬるいパスを内野がカットした。 「うわっ、あっ」 「あ!入っったぁーーっ! すごいじゃん内野くん!」  内野が1人でドリブルで切り込んでレイアップシュートを決めた。  2点差! 「すごーい! カッコいー……」って女の子の声が聞こえた。僕も友達としてちょっと鼻が高い。  ピピーッてホイッスルが鳴ってゲームが終わった。 「やばい。2年生に勝っちゃったよ」  眞美ちゃんと手を取り合ってこそこそ笑い合った。 「内野がバスケもあんな上手いとは知らなかったなあ、コラ」 「松岡(まつおか)先輩、イタイっす」  内野が2年生に肩をがっしり組まれて睨まれてる。まあ相手は笑ってるけど。先輩、って言ってるから、サッカー部の先輩なんだろうな。  その先輩が内野の頭をわしゃわしゃと撫でて「次も勝てよ」って笑いながら内野の背中をパンッて叩いた。 「あれ? 今負けちゃってるのドッジだけ?」 「え、うそ。あ、そっか、ソフトもバスケも勝ったもんね」 「大縄は? どうなってんの?」 「見に行こ、見に行こ」  ちょっと前にゲームが終わって、バスケを応援してたドッジボールのチームと、さっき勝ったバスケチームのみんなで、ワイワイ言いながら昇降口へ向かう。 「あ! 秋川先輩!」  え?!  女の子たちが「きゃあ」って言って見つめた先、廊下の向こうから秋川先輩が歩いて来ていた。  あ!  目、合っちゃった……っ  うわっ、笑ったっっ  周りの女の子たちが息を飲んだ。 「みんなで外の応援に行くのかな?」 「あ、はっはいっっ」  前の方を歩いてた男子が、秋川先輩に声をかけられてちょっと上擦った声で応えた。女の子たちはこくこく頷いてる。    秋川先輩は、今僕たちが出て来た体育館へ向かっているんだと思う。  すれ違う、とか近過ぎてドキドキする。  あと数歩で秋川先輩が真横を通る  ドキドキ ドキドキ ドキドキ 「外、結構暑いから気を付けてね、保科くん」  え?!  思わず秋川先輩を見上げた。立ち止まった先輩は微笑んで僕を見下ろしていた。  なんで?! 「ね?」って感じで僕を見た秋川先輩が、また体育館の方へ歩き始めた。  う、わわわわわわっっっ  ドドドドッと胸が強く打って体温がぶわっと上がってきちゃう。  やばい! 顔熱いっっ!!    咄嗟に下を向いて、鼻を擦るふりで顔を隠した。 「良いなー、琳ちゃん。秋川先輩に声かけてもらっちゃってー、あ」  眞美ちゃんがちょっと覗き込んできながら僕の腕に腕を絡めて、そして外をちらっと見た。 「あー、ほんと、外日差し強いねー。琳ちゃん日焼け止め塗ってないでしょ。ちょっとおいで、塗ってあげる。真っ赤になっちゃうから、琳ちゃん。みんな先行っててー」  そしてそんなことを言いながら、眞美ちゃんは僕の腕をぐいぐい引っ張って、昇降口を通り過ぎた所にある手洗い場まで連れてきた。背後から「オッケー」って声が聞こえてた。
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