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 また目が合っちゃったっっ  慌てて視線を外す。  僕が笑ってたの見られた?! どうしよっ、感じ悪かったかな?!  先輩見て笑うとか、後輩としてやっちゃいけないことだよね?!  ジャージをぎゅっと握って俯いてたら、ザワザワが近付いてきた。 「琳ちゃん琳ちゃんっっ」  眞美ちゃんがコソコソ声で言いながら、僕のジャージの肘の辺りを引っ張る。  なに?って思ってたら、視界に僕の方を向いた大きな足が入った。 「保科くん」  え……?  この声……っ 秋川せんぱ……っ 「次、1−4が勝ったらうちと対戦だね」 「……え……あ……っ」  ドドドッと急加速する心臓が苦しくて、何も考えられない。 「楽しみにしてるよ、ね?」  僕ににこっと笑いかけてそう言った秋川先輩が、ちらっと内野の方を見た、気がした。 「おー! 秋川! 勝ったんだって? さっきのゲーム」  真後ろから声がしてビクッとした。 「松岡、久しぶりー。うん、勝ったよ。Aグループの1位」  後ろからの声の主が僕たちを追い越していく。  あ、内野の先輩だ、サッカー部の。友達だったんだ、秋川先輩と。 「おれらはさー、これ! うちの部の内野! こいつらに負けたんだよ、ちっくしょー」  そう言って笑いながら、松岡先輩は内野を後ろからガシッとホールドした。 「次1−4が勝ったらBグループの1位になってうちと当たるよ」  秋川先輩が笑って言う。 「マジで? 当たったらコテンパンにしてやって。おれの代わりに」  にーっと笑いながら松岡先輩が言った。 「松岡先輩それはないっすよ。さっきは勝てって言ったじゃないすか」  ホールドされたまま身体をよじって内野が訴えた。 「はは、そうなんだ。ていうか始まるんじゃないか? ゲーム」  秋川先輩が体育館の方を見た。 「内野ー、早く!」って呼ぶ声が聞こえた。 「おー、行け行け。頑張ってこいよ、内野!」  松岡先輩が内野の頭をババッと撫でて送り出した。 「じゃ、またね、保科くん」 「……っ」  綺麗な微笑みを浮かべた秋川先輩がそう言って歩いていく。  また声かけてもらっちゃった 「秋川先輩、琳ちゃんのこと気に入ってるよね、絶対」  眞美ちゃんが、ふふって笑って言った。 「てゆっかアレかな? 体験入学でプリント飛ばしちゃうし、見ててあげなきゃ、また何かやっちゃうかもって思われてるのかな?」  ちょっとイジワルな顔して笑いながら眞美ちゃんが言う。  でもそれ、一理ある。  ……それでもいいな 「あ、ほら、うちのゲーム始まっちゃうよ、行こ!!」  芽依ちゃんが眞美ちゃんの腕を引いて、眞美ちゃんが僕の腕を引いた。  さっきまでより人数の減った体育館に入った時、ちょうどホイッスルが鳴ってゲームが始まった。ジャンプボールは内野だ。高身長でパワーがあるから難なくボールを敵陣に叩き落とした。 「わぁーーー……っ」  芽依ちゃん、目がハートになってる。かわいー。  隠さなくていい、もんね。自分の気持ち。  いいなぁ……  キラキラした目で一生懸命内野を応援してる芽依ちゃんを横目に見ながら、唇を噛んだまま意識して口角を上げた。
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