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 小学校も中学校も、毎週月曜日にある朝礼が面倒くさかった。  校長先生の話も、その他の発表とかも、校内放送でいいじゃんって思ってた。  だけど。 「えー、では生徒会から……」  スピーカーから流れてくる柔らかく低い声。  ステージの上に秋川先輩が立っている。  入学式の次の日、全校生徒での朝礼があった。  新入生と在校生の顔合わせ、というようなものだった。そこで生徒会役員の紹介も行われた。  会長は3年生。副会長は3年生と2年生1人ずつ。会計と書記は3年生が1人ずつ、という体制で、秋川先輩は2年生の副会長だった。  3年生の中に1人だけ2年、って大変そう。でもすごい。  そのすぐ後にあった部活紹介には秋川先輩は出ていなかった。バスケ部で出るかもってすごく楽しみにしちゃってたからガッカリした。  だから今、秋川先輩を見られてめちゃくちゃ嬉しい。  胸がドキドキ鳴ってる。  まだひんやりしてるはずの体育館で、手のひらが汗ばんできてる。  頬がちりちりしてきてやばい。  朝礼の並び方は身長順。  背、低くてよかった……っ  なんて思う日が来るとは思ってなかったっ  顔見るのと声を聞くのに必死で、正直話の内容はイマイチ頭に入ってきてない。  いい声だなぁ……  格好いいし…… 「……では、生徒会からは以上です」  あ、終わっちゃった。  ずーっと聞いてたかったなぁ。秋川先輩の声。  あー、ステージから降りてっちゃった。  ついため息をついたら、周りの女の子たちからも、ふぅっというため息が聞こえた。  はは、みんなおんなじ、か。  
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