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 こういうの、どう切り出すのが正解なのか分からない。  恒例になった夜の通話。保科くんに「何してたの?」とか訊いて、俺は部活の話をした。内野くんに会ったことは言わない。そしてまだ迷いながら口を開いた。 「あの……、保科くん。言い忘れてたっていうか、俺自身すっかり忘れてたことがあって……」  来週の木曜は、保科くんとはまだ何の約束もしていない。ただ俺が一緒に過ごしたいと思っていただけ。 「次の土日に大会があるから、来週は木曜も部活があるんだ」 『え……っ、あ……そ、うなんですか……』  一瞬息を飲んで、残念そうに聞こえる声で保科くんが言った。 「俺は、生徒会の用事が終わったら保科くんと何しようかな、とか思ってたから残念だなーって思ったんだけどね。でも、部活があるのを残念だなんて思ったのは初めてで、自分で自分に驚いたよ」 『僕も……っ』  保科くんの高めの声が耳に響く。 『僕も楽しみにしてましたっ。木曜日っ』  わ、保科くんも楽しみにしてくれてたんだっ 『でも、あの、あのえっと、大会っ、大会って僕も見れますか?!』  少し上擦った声が耳から全身を撫でていって体温が上がってくる。  ていうか……っ 「え、あ、うん、もちろん、え? 見に来てくれるの?」  トクトク、トクトクと心臓が鳴っている。 『行きたいです!』 「う、わ…嬉しいなぁ。やば……。じゃあ、詳しいことはメッセージで送るね」 『はい』  うん、て頷いて返事をしてくれる保科くんの様子が頭に浮かんだ。 「あ、あと明日なんだけどね、うちの両親朝から出かけてていないから、挨拶とか心配しなくていいからね」 『あ……、はい』 「猫たちにだけ挨拶してやって」 『はい! 楽しみです!』  あー、可愛い声! 「うん、俺も楽しみ。よかった、明日会うことにしてて……」 『はい……』 「おやすみ」って言い合って、保科くんが通話を切るのを待った。  あの綺麗な細い指がスマホをタッチする様を思い描きながら、スマホをデスクに伏せた。  掃除、しとかないとな。  好きな子を、恋人を部屋に入れるなんて初めてだからドキドキする。  あと服……っ  私服で会うの初めてだな。保科くん、どんな感じなのかな。  まあ、何着ても可愛いんだろうけど。  とか考えながら、部屋を片付けたり服を決めたりしているうちに夜が更けて、でもなかなか眠れなかった。
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