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 かわいい かわいい かわいいっっ  開いている唇に唇を重ねて、その柔らかくて小さい唇の内側を舌でなぞると、保科くんが俺の首に回した腕でぎゅうっとしがみついてきた。  めちゃくちゃ可愛い  キスを交わしながら、保科くんのチノパンのボタンを片手で外した。 「……んっ」  保科くんがびくっとして、恥ずかしそうに両脚を合わせながら抱きついてきてる。薄い身体が波打つように揺れている。  ジッパーを山形(やまなり)にゆっくりと下ろしていくと、保科くんの腰がびくっと浮いた。 「んっ、あ……っ」  うわ……っ、声っ  ドドドッと心臓が胸を強く叩いて、ますます下半身に熱が溜まってくる。  興奮する。保科くんの声。  すごい色っぽい。    ジッパーを下ろし切ったらグレーの下着が覗いた。  あ、染みちゃってる。  早めに脱がしてあげた方がいいのか?  ごくりと唾を飲み込んで、保科くんの肌と下着の間に指を差し込んだ。 「…あ、のっ、い…っしょ、に……っ」  真っ赤な顔をして保科くんが必死な目で俺を見て言う。 「あ……そっか、うん。恥ずかしいね、1人じゃ」  ごめんね、って軽くキスしたら保科くんが、ううんって首を横に振った。  普段何気なく外すベルトに手間取ってしまう。  布が前に突っ張ってるから、元々硬いジーンズのボタンが余計に外しづらいし、緊張で手も震えてくる。  さっきよく片手で外せたな、保科くんのボタン。    細い身体に(またが)る俺を、下から保科くんが潤んだ目で見上げている。  これはさすがに恥ずかしい。  再び保科くんに覆い被さって唇を重ねる。口付けると大きな瞳は閉じられた。舌を絡め合いながらジッパーを下ろす。  昂った自身の性器を保科くんのに触れさせた。下着越しでも熱さを感じる。  保科くんがびくっと舌を強張らせて、俺にぎゅっと抱きついてきた。 「……保科くん、触っても、いい……?」  ひくひくと上下している薄い腹を指の背で撫でて訊く。 「あ…っ、あ、じゃ、ぼく…も……」  うわ、まじか  至近距離で見つめ合った。  真っ赤な顔をした保科くんが、俺の首に回していた腕をそっと外して、俺の胸から腹にかけて撫で下ろす。  や……っば……っ  身体中爆発しそうなぐらいバクバクいってる。    どちらともなく口付けて、互いの腹から下に手を滑らせていく。 「「……っ」」  同時にびくっとしてしまって歯が当たってカチッと音を立てた。  保科くんに触れている手の感覚と、保科くんの手が触れている感覚。  やばいっ  やばいやばいやばいっっ  アタマ煮える  どっと浮いた汗が額を、頬を流れていく。俺の首に回している保科くんの左手が、俺のシャツをぎゅっと引っ張った。  保科くんが欲に濡れた目をして見上げてきてる。  たぶん俺も、同じような顔をしている。  焦らすのは可哀想だから、なんてもっともらしい言い訳を頭の中でしながら、保科くんの下着に指をかけた。俺の性器に添えられた保科くんの手がビクッと動いて息を詰めた。  やばい、まじで。  好きな子に触られてる。  気を抜いたらあっという間にイッてしまいそうだ。  保科くんの薄い腹と下着の間に指を入れて、そのゴムを引き伸ばして下げていくとピンク色の先端がぷるんと出てきた。微かに触れてしまった手の甲に濡れた感触。  心臓ってどこまで強く打てるんだ?  オーバーヒートで止まったりしないよな?  ていうか……っ 「ごめ…っ保科くんっ」  保科くんが掴んでいるシャツのボタンを外して脱いだ。暑くて仕方ない。  保科くんが目を見張って俺を見上げた。
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