ナンパ

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ナンパ

早朝ランニングをしていると、街中で男に絡まれている人がいた。 「あのーーーー!」 大声で叫ぶと男は驚いて逃げ出した。 「大丈夫ですか?」 くるくる金髪の女の子は、ちょっと怒った顔した。 「うるさいんだけど」 「…知り合いですか?」 「ナンパされてたのに!なんで邪魔するの?」 「朝から…ナンパ?酔っ払いだと思いますけど」 「…よっぱらい?って?」 「お酒飲んでふらふらしてるやつのこと」 「…あー」 「適当にナンパしてるやつってタチ悪いから、気をつけて。暴力する人もいるし」 「…そうなんだ」 「じゃあ、気をつけて!」 走り出そうとしたら、腕を掴まれた。 「なんですか?」 「どうして?私を助けたの?」 「いや、なんとなく?」 「あなたにお礼したいです」 「大丈夫ですよ〜!じゃ、…え」 離してくれない。 「どうして日本語で話すの?」 「はい?」 「どう見ても外国人でしょ?私」 「…そう、ですねぇ…でも今もしゃべってますよね?」 「私のこと気になりますか?」 「ん?」 「私のこと好きですか?」 「え?…えーと、ん?どういうことですか?」 「私、彼氏が欲しい!あなたがいい!」 「…な、ナンパ!?」 まさか、自分がナンパされることがあるなんて、想像もしていなかった。
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