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「__もう!なんなんですか!」
私の名前はデュロース・ドライ。
ドライ伯爵家の長女です。
ヤークワキ・ドライの妹で、同じ海老色の髪に瞳をした、シャーユ王国の由緒正しい貴族です。
「やはり、無色は無色!少し見直したと思いましたが、それは思い違いだったようですね!」
今、私はとても機嫌が悪いです。
それもこれも、あの女が私の手を取るどころか、逆に恥をかかせてきたからです。
イーリスとかいう女と決闘するというから、どんな無様な試合を見せてくれるのかと見に行ってみました。
すると、予想に反して思ったより戦えるではありませんか。
これなら、小間使いくらいには役に立つだろうと思い、忠告も兼ねて私たちのグループに入れてやろうと誘ってあげたのに、あの女断りやがりました。
おかげで、あの場では針の筵。
そそくさと逃げるように離れるしかありませんでした。
「そうですよ!あんな女に手を差し伸べてやる必要などなかったのです!」
「生意気にも本物の貴族に逆らうなんて、本当に身の程知らずですよね!」
この人たちは、私の数多くいる友人の内の二人。
先ほど、私が無色に抗議していたときに一緒に同調してくれた人たちだ。
「そうですよね。属性魔法も使えない偽物は、大人しく本物の私たちに使われていれば良かったのです。そうすれば、最低限の貴族として生きていけたというのに…そのチャンスをふいにしたこと、後悔させてあげます…!」
まずは手始めに__
「君たち。ちょっと待ちたまえ」
「え、急に誰ですか…って貴方様は!?」
「おっと、あまり大きな声で話さないでくれるかな。僕も一応、ここにはお忍びで来てるんだ」
「あ…申し訳ありません!」
「ああ、よろしく頼むよ」
こんな私に、このような高貴な方が話しかけてくれるなんて、今日はなんて喜ばしい日なのでしょう。
無色に恥をかかされ、イライラしていた気持ちが洗い流されていくようです。
友人の二人は、あまりに驚きすぎて声も出せない様子。
「さて、たまたま話が聞こえてきたのだが、メアリー嬢に何か恨みでもあるのかい?」
「い、いえ!これは私たちの問題なのでお気になさらず……」
「僕が聞きたいんだ。駄目かな?」
「駄目……ではありません…少しお耳苦しいかと思いますが、聞いてくださいますか?」
「いいとも。話してくれたまえ」
「ありがとうございます。実は__」
私は、この高貴な方に促され、先ほどあったことを洗いざらいお話した。
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