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ごきげんよう。
私の名前は、メアリー・フェリシテ。
勇者が興したとされる国、シャーユ王国を代々支えてきたフェリシテ公爵家の長女。
今はウィーリング学園の一年生で、ノブレス・オブリージュを理念とし、日々勉強を頑張っています。
そして求婚者も何故か増え、毎日ウザ……楽しい日々を過ごさせてもらっています。
え?なんでまた自己紹介するのかって?
そんなの、気分ですけど何か?
……そんなことより、私は今、猛烈に後悔していることがあるんです。
「アッハッハッハッハッ!」
「笑うな笑うな!私だって後悔してるんだから…!」
「これを笑わずして何を笑う?そなたの中から見ていたが、とても愉快だったぞ?」
ここはウィーリング学園の女子寮にある私室。
朝日が登りベッドから起き上がると、顔を洗うために洗面台に向かい、鏡の前に立つ。
そして、鏡に写った疲れた自分の顔を見て、これから憂鬱な日が再び始まるのかと思って気が重くなる。
そんな私を見て、魔王ルナは朝っぱらから笑っていた。
ルナは私の中に常にいるので、私が見聞きしたことは全部ルナにも筒抜けになる。
当然、新しい求婚者が増えたことも、その後の騒動も全部知られているのだ。
「ゔー…だって、あんなことになるなんて誰が思うよ……」
セルパン殿下に求婚された次の日から、毎日が大変だった。
まず、ヴィサス様に説教された影響か、レオン殿下とセルパン殿下はお付きのメイドを使って呼び出すようになった。
それ自体はいいのだが、誰かが私を呼び出すと、必ずヴィサス様が乱入してくるのだ。
レオン殿下に綺麗な湖を見に行こうと誘われると、ヴィサス様にたまたま出会って一緒に行くことになったり。
セルパン殿下に美味しい料理が食べられるからと誘われると、妙齢の女性が異性と二人きりで食事は変な噂が立つからと、付いてこられたり。
しかも、ヴィサス様がいちいち私との仲が良いことを周りにアピールされるから困ったものである。
何故だか、これ見よがしに私と腕を組んだり、あーんを要求してきたり。
やってる事は可愛らしいものだが、その都度レオン殿下やセルパン殿下にドヤ顔を向けるから始末に負えない。
レオン殿下たちも、その度に引きつった笑顔をされているから相当複雑な心情なのだろう。
確かに、ヴィサス様とは愛称で呼び合うようになったのだから親友と言えるくらい仲が良いと思う。
けど、さすがにこれはやりすぎな気がする。
というか、メリットもないのになんでそんなにアピールするのかわからない。
そのおかげで、別の噂が立ってるくらいだ。
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