異世界人は突然に

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「お前らー、転校生を紹介するぞー」 ここは教室。 ホームルームが終わって、担任の先生が急にそんな事を言い出した。 あまりに急なことと、それに時期が中途半端な事もあって、なんだなんだと教室内は騒がしくなる。 「ほら、静かにしろー。…………よし、入ってきていいぞー」 やる気のない声で号令をかけ、静かになったのを確認すると、転校生を呼ぶ。 教室前の引き戸が開き、1人の女の子が入ってきた。 身長は私より拳3つ分低いくらいか。 全体的に華奢(きゃしゃ)な体つきで、胸は少しだけ、だが確実に女の子としての膨らみを主張している。 腰回りは本当に筋肉が付いているのか疑わしいくらいに細く、それと同じくらい小さいお尻をフリフリと揺らしながら教壇を登り、教卓の横に立ってこちらを向いた。 肩にかかるくらいの長さの内巻きにカールしたラベンダー色の髪。 頭の後ろには、自身の頭よりも少し大きめの赤いリボンが付いている。 ラベンダー色のタレ目気味な大きくてクリクリした瞳と、スッと通った綺麗な鼻筋、薄く形の整った唇が華奢な身体と相まって、全体的に幼く守ってあげたくなるような可愛らしい女の子だ。 「今日からこのクラスで皆さんと一緒に学ばせてもらいます、イーリス・ヘルディンです!よろしくお願いします!」 ペコッ、と可愛くお辞儀する。 それに合わせて、教室内で拍手が巻き起こった。 そんな中、私は一人考え事をしていた。 ヘルディン家……あまり聞いたことない家門ですね。 周りの方々は気にしていない様子ですけど…… 私が知らないだけとか? 『ヘルディン……あの忌々しいやつのことか……』 「うわっ!なになに!?」 頭の中に急に声が響き渡る。 思わず声を上げてしまい、周囲の人から注目されてしまった。 私は恥ずかしさで顔を少し赤くしながら、周りにお辞儀して何でもないことを伝える。 『すまない。ヘルディンという名前につい反応してしまった…』 「わ!また…!」 今度は心構えができていたので、声を抑える事ができた。 周りはこちらを(いぶか)しむ目で見てくるが、そこまで気にしていないようですぐに前を向いた。
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