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「……あの…レオン様?どうかしまし__」
「馴れ馴れしく呼ぶんじゃない。不敬罪で死刑にされたいのか?」
イーリスの言葉に重ねるように、レオン殿下が冷たく言い放つ。
「え……なんで………レオンさ__」
「何度言わせるつもりだ。次はないぞ」
イーリスの方を向くことすらしない。
レオン殿下の冷たく、拒絶した言葉が重くイーリスにのしかかる。
他のみんなも、レオン殿下の普段とあまりに違う、静粛で厳かで、高貴な雰囲気に圧倒される。
「何をしてる?さっさと座れ。ヴィサス嬢もすまないな。席に戻っていいぞ」
「は、はい…」
「…………」
ヴィサス嬢は、レオン殿下のいつもと違う雰囲気に戸惑いながら席に戻る。
冷たく突き放されたイーリスは、黙って席に座った。
その顔は、まるで生気が抜けたかのような無表情であった。
私も、静かに自分の席に座る。
「先生、迷惑をかけた。授業をよろしく頼む」
「…あ、ああ……それじゃあ、魔法学の応用をやっていくから、みんな教科書を出してくれ」
先生の号令に生徒たちは戸惑いながらも教科書を広げる。
そして、授業が始まった。
ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・
「アナタ!魔王ね!」
「……は?」
あれから授業は滞りなく進行し、今日の分は終了した。
そして、やることもないので寮の私室に帰ろうと思ったそのとき、イーリスに呼び出されてしまった。
初対面で呼び出される理由が何も思いつかなかったので断ろうとしたが、それでも無理やり引っ張っていくので、面倒になってされるがままになっていた。
そうして、連れていかれた場所はまたしても校舎裏だった。
いや、ここに来るの何回目?
そして、校舎裏について解放されたと思ったら、開口一番にあの言葉だ。
というか、レオン殿下にあれだけ打ちのめされていたのに、放課後になるまでに回復したのか。
メンタルつよつよだな。
「何なんですか?いきなり変な言いがかりをつけてきて。私が魔王だなんてそんな訳ないじゃないですか」
「誤魔化さないで。アタシ知ってるんだから!」
何故か確信を持っている様子。
初対面のはずだが、なんでルナのこと知ってるんだ?
…誰かしゃべった?
いや、朝のあの様子からこんなやつと仲良くしたいと思う人はいないだろう。
それに、ルナのことを知っている人がそもそも少ない。
イーリスがルナのことを知ることなんて出来ないはずなのだが…
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