1/1
前へ
/54ページ
次へ

私は日が暮れる街を見ていた。 「後は自滅を待つばかりだな」と隣に並ぶ人影。 「ですが……」といったのは息子さんだ。 「ああ、だが、あの国は、五大国王が集まったら手出しはできまい」 「戦いは逃れられないのでしょうか?」 「さあな、大昔、竜が五大帝国を守った記実録はあるが、なにから守ったのか?チサ」 振り返り領主さまを見上げた。 「私は気が付いたのだ、なにも人が傷つくことはない、話し合で解決できることもあれば、何かできっかけをつかみ、こうしてうまく運べるところまで導けた。戦いは、人を死に追いやるものだけではないと、つくづく感じておるのだ」 「人間とは……いや、考えられるものたちと言っておきましょう、なんて愚かなのでしょうね?」 「そうだな、だから人類と呼ばれるものは何万年も前に人類は一度全滅した、だが形をかけてもその考え、思想はなぜかまた繰り返す、どうしようもない。だがそれをまた止めることができるのも我々だ、そう思ってもいいのではないか?」 「そうですね」 私たちは、赤く染まった空を眺めていました。 途中、馬車に乗せてもらった王様です。商人になりたての若い二人に助けてもらったようですね。 「まったく、アルリア教なんて名前だけで、人を救うなんてこれっぽっちも考えてないんだぜ」 「なんで教会なんだろう、金持ちばっかり相手にしてるのも気にくわないしー」 「もういいだろ、あんなところ無くなればいいんだ」 「すまぬが、アルリア教会がどうしたんだ?」 おっちゃん、ここだけの話だ、誰にも言わないでくれよ。 うん、うん。 それは、私が知っているアルリアの裏側の顔だった。彼らは、隣、ドニール国の商人で、品物を取りにナポーリへ行った帰りだという。 ナストールの若い王の実権を我が物にしようとしているのか、王様に仕えるものをすべて首にしたという、教会がそこまで入り込んでよい物か? 「それはまことか?」 「誠かって言われても本当のことだし」 「今に、どっかの国が飲み込まれちゃうかもよ」 「まあな、この国は大丈夫さ」 「どうしてだい?」 「だって王様がいい人だもん」 「あったことないくせに」 「でもわかる、民が食べる幸せを与えてくれるんだ、絶対いい人さ」 「それは言える、今度はいつカレーが食べれるかな?ナポリタンは材料さえ手に入れば作れそうだしな」 「カレーか、エルドレットの村に入ったら食べに行こうぜ」 「そのカレーとやらは村に行けば食べられるのか?」 ああ、兵隊で、ケガをした人や、手や足のない人が集まって食堂をしていると聞く。 安くてうまい。最高さ! ほお、それはすごい。 ただじゃないのか? 「あー、金は払うぞ」 「おっちゃん、ただなのは教会でやるミサの時だけだ月一回兵士の安息日だけただなんだよな」 なんで? その日、カーニャ領の兵士がカレーを王様に献上された。すると王様は、貧しいものに回せと言ってくださった。 「へー、すごいね」 「なんて言ったって、王様が兵士にだけ許したものだからな、現役を退いたって、元兵士だ、国のために頑張った人たちだもの、そのレシピは、兵士以外には教えないんだとよ」 「あー早くつかないかな?」 「そろそろ領主さまの明かりが見えてきたよ」 小高い丘から下に見える大きなお城の明かりが遠くからでも見えます。 「おっちゃんどうした?」 「大丈夫?」 王様は涙を流しておられたそうです。 馬車に手を振り、王様は屋敷の中へ入りました。 「すみません本日の面会は終わってしまいました」 「いや、そうではなくて、親戚だ、ジョルジュが来たと伝えてくれぬか」 「そうか、ご苦労様」 「すまなかったな、で、今は」 玄関先でお疲れなのか、お休みになっておられます。 ジョルジュ。 ゆすられて目を覚ました。 よく来たな。 エルドレッド。 王様の顔は埃で汚れ、涙を流した跡が浮かび上がっていたそうです。 その頃、猫さんの王宮では? 誰もいないのに慌てた王様家族。 そして喧嘩が始まります。 子は親を妻は夫を夫は妻を。 アルリア教の者が何かと世話をかけるものの、あーしろコーしろと言うのに嫌気がさしてきたのは奥様でした。 食べ物は何とか、調理して、出しますが、やはり文句ばかり。王妃は頭に来て子供をつれ里帰り。一人残された王様はどうすることもできずに近所の家を訪れます。 ですがその家族は、中へ入れないと追い返しました。 一度は戻る王様、でも、教会の者につつかれ、せかされ、また外へ出ます。力任せに剣を抜いた王に向かいその家族の親は。 「ただの盗賊に成り下がった王、決して許さない!」 そう言い放った時でした。 ドアが開き、兵士が、盗人として王様を捕まえたのです。 彼らは残って見張っていたものでした。 王は、アルリア教会の者に助けを求めますが、誰も出てきません。これで、王様は、自分の犯した罪を認めるしかなくなったのです。 ヒューゴ様とゲッヘイン様が城へ戻られた時、そこには王妃様たちが立ちつくされていました。 何が起きたのか聞くと、アルリア教団が、王宮の中の調度品を持って行ったといのです。 城の中は、高価な物ばかり無くなっていました、ただ、王妃は大事な物だけは隠してあったのでなんとか免れたと、泣いて、彼らに詫びていたそうです。
/54ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加