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ムー!
どうした?
おお兄ちゃんです。お風呂上がりで頭を拭いています。
私の前には、瓶に入ったイチジク。
ふわりと頭にタオルが乗って、ガシガシと頭をふいてくれます、まだ濡れていると言いながら。
「あのね、あのね」
私は、わらしべ長者という昔話をわかりやすく話し“わら”から物々交換していって、最後はお金持ちになって幸せになる話をした、そして、ここまでにはなったけど、ここから続かないような気がすると瓶を持ち上げ話した。
「あのなー」
いつも、いつも、都合よくそんなお金が入ってくるわけはないだろうという。
「お金あるよ」
「だからー。」母ちゃんや長老からもらう小遣いを使わなければたまるよな。
私は口をとがらせ、「お金なんかもらったことないもん」と言いました。
「もらったことないの?」
お金は確かに預かるけど、自分のために使うお金は誰にももらったことはない。
「そうなのか?」
でもお金は持っている、その金はどうしたんだと聞かれ。
「稼いだ分」
「は?」
「だからー、最初はね」
私も振り返ってみて、不思議だなーと思うようなことばかりだった。たった一個の石、それがリンゴになり、パンができた。そこから枝豆爺さんと出会い、トウフを作るにがりに出会う。教会に教えたモノたち、それが最後には、お金になって、手元にやってきたんだと話した。
たった一本のわらにトンボを付けた、お菓子になり、隣国の要人と出会うきっかけに。
「それ、長老は知っているのか?」
「当たり前、お金は管理してもらってる」
そうか―それはすごいなー、それで、そのビンがどうしたんだ?
これはイチジクを煮たものだそうです。
「売れないんだよねー」
「まあそうだよな、食べなれないとな」
「アー、そうだよ、べとべとの木だからいやだって、そうだよ、たべてもらえばいいんだ!」
立ち上がって、行ってくるという手を引っ張られた。
「バーカ、夜、寝る時間」
ははは、そうでした。
明日にしろ。
うん!
チサはベッドに入るとすぐに眠ってしまった、まったく。
でも、すごいな、大人になったら商人でもなるつもりなのかな?
俺は瓶を見た、確かにおいしいけど、どうなることやら。俺もチーの隣に入って寝たんだけど、次の日、それが、商品となっていたのには驚いた。
何を作ったかって?
そのままさ、ただ、煮ただけのイチジクを瓶に詰めた。それがまあ甘いのなんの。切ったパンに乗せて出した、そう、教会でもやった試食だよ。
「さあ、さあ、見て食べて、あのべとべとの木からこんなおいしい実が取れるよ!さあ、買った、買った!」
「なあ、アイジュ、アイツは商人にでもなるつもりか?」
俺の隣で腕を組んで言うアロー叔父さんを見上げた。
「なんだよ?」
「いや別に?」
俺は同じ考えだったって言おうとしたけど、首をひねっている、まあいいかと思いながら、ただおかしくてくすくす笑っていた。
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