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第60話 再会
ここはカスーチャにある領主様の屋敷近くの官舎です。その一室をお借りしています。
アロー叔父さんがいますからね、兵士と同じ、手伝いに来ている教会関係者たちもいるよ。
「お帰り」
「叔父さん、お帰り、晩ごはんできるよ」
おう、と叔父さんの後ろから顔を出した人。
「ユニ、ユニなの?久し振り!」
おお兄ちゃんはその人に抱き着きました。彼は長女の旦那さんだどうです。アロー叔父さんが紹介してくれました。
そして、この子誰?
狐のような顔立ちの男の子。
「ルーベ、この子が黒龍、チサだ」
この人が?
「はじめまして」
「ど、どうも」
叔父さんは隣のバーシア領主が何をしていたのか調べていたのです、やっぱりね。
「人間の子供?」
「じゃあさ、その子は二年前の秋にサーダルリアーを目指したんだね?」
生きていればいいんだがなという大人二人…?
二年前の秋と言えば、私と同じ時期に来た子って…。
「その子ってさ、僕よりは大きいけど、兄ちゃんよりは小さいかな?」と大兄ちゃんを見上げた。
そうですねという子。
「もしかして、髪の毛は銀色で髪がくるくる巻き髪かな?」
男の子は目をぱちくり、うん、うんと言っている。
「右目のこの辺にほくろがある?」
「は、はい!」
「もしかして、腕とか足にこんなわっかの跡があってからだ中に鞭の跡があったりする?」
「そうです、あります!その方は!」
「おお兄ちゃん」
ああ、行って来る、と立ち上がりました。
「おい、いって来るって」
「みんな呼んでくるよ、晩飯だ」おお兄ちゃんは出ていきました。
「あのー?」とおお兄ちゃんの後を追いかけそうな子の手を捕まえました。
「君はダメ、もしかしたら誰かにつけられているかも知れないしね」
「俺たちがいるのにか?」
チチチと人差し指を振りました。
「叔父さん、どこにスパイがいるかなんてわからない物なんじゃない?」
「すまねえな」
「隊長?」
「こいつにはいつも一本取られてばかりさ、サーて、飯の準備でもするか」
ええ?隊長やめてください、いいじゃねえか。
「君も手を洗って、人が大勢来るからね、食事にするよ!」
しばらく、ルーベと話をしました、彼からは怒りしか感じ取れません。ただ、子供で、年齢が近いというのもあってだいぶフランクに話をしてくれます。
そしてまたあの教会の名前が出てきました。
「あいつらは人殺しさ」
何で人間ってだけでこんな仕打ちを受けるんだろう?
「チサ、実はね、人間は、先祖返りだけじゃないんだ」
ユニさんが教えてくれました。
その昔、まだこの国が五大国となるずっと前のお話です。
この世界には、大きなもの達が世界を支配していたんです。
只生活するには、小さい方がいいため、魔法で人の姿になって生活をしていたのです。その一つが竜族だという。
ある時、隣の国の化け物が攻めてきた。
竜族は、国を守った。
でもそこに生きている者たちは、いつもの人の姿ではない大きなものが戦う姿を見て怖くなってしまったんだ。
人間の姿を見ると、竜だと言っていじめられ、街から追い出されるのも出てきた。もともと少ない竜たちは、山にこもってしまったんだ。
只獣人や生きているものすべてが大好きな竜は人(獣人)里に出て来るけど、結局人間の姿にしかなれなくてすぐに見つかってしまう、いつからか、獣人族は人間を見ると、竜だと言って、親たちは子供と遊ばせないようにしていってしまった、という話だっだ。
「魔法?」
私は自分の手のひらをみました。人間……。
「チサ」叔父さんは私を抱き上げこう言いました。
私が竜族だということが広がれば、それだけで脅威と見て襲われる可能性が高まる。だからと言って、部屋の中で縮こまっていろとは言わない、だろ?
うん。
「お前は家族だ、俺たちが守る」
私はアロー叔父さんに抱き着きました、目頭が熱くなって、涙がこぼれてきました。
外が明るい声で騒がしくなってきました。
「ただいまー、はー腹減った」
「ただいま、隊長お帰りなさい」
と次々と人が入ってきます。
皆教会の子達です。
「ただいまー」
「……シュ、シューゲイル様」
その声に立ち止まったのはミハエルです。
目から、涙がこぼれ、彼に抱き着きました。
「ルーベリウス、ルーベリウス!」
「生きておられた、若様、お会いできましたよ」
「ルーベリウス!」
「若様!」
二人は抱き合ってしばらく泣いていたんだ。
そして、みんな揃っての晩ごはんです。
「そうか、あの時、教会にはいなかったから知らなかったのか?」
捕まったのが羊族だったとは後で聞いたし、それが、バーシア領主で叔父だったのはつい最近聞いた。
「チーを殺そうとしてたんだもんなー」
「そいつはそんなに人を殺して何がしたかったのかな?」
「アルリア教、司教様はかかわるなとしか言われてないけど、こうなると怖いものがあるな」
「ここもいつそいつらが来るかわからないな?」
「そこは任せておけよ」
エー、隊長にですか?という教会の子たちが笑っている。
ミハエルも、ルーベも笑っている、よかった。
「アロー隊長、チー、一度長老の所へ連れて行ってくれないか?」ミハエルは枢機卿様にも話さないと、と言っているが、あの人の事だ、わかっていると思う。
「うん、でもさ」
ミハエルは、私に向かって微笑みました。
「ルーベリウスには悪いけど、俺、領主にはならないよ、俺の居場所はハリス教会だもん、みんなのところから離れたくないんだ」
「若様」
彼にも、教会へ行こうと言っていますが、彼には何か考えがあるようです。
今は、バーシアへは戻れません、ミハエルたちもまだ戻れないので、ルーベには、当分、一緒に手伝ってもらうことにしました。
私達にはまだやることがあるのです。
さてと王様の方だな?
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