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そうです、場所さえ渡せばやりたい人はどうやったって、やるんです。 テントだろうが、簡単な家だろうが。なんて言っても区割りされた土地は、無料。その代わり、店をたたむときやここを出て行くときは、決められた金額を払って出て行くこと、もちろん前金でもいい。 「出て行くときかー?分割でもいいか?」 「もちろんですではここに記入を」 火事で行き場を亡くした人たち、仕事さえ渡せば、誰だってひもじい思いをするのは嫌だから、働くのですよ。 簡易教会の前には長い列です。 「ダニエルにいちゃん!マーク!」 「チー」 「チサ」 「どう?うまく行ってる?」 ああ、明日には、教会から応援も来てくれるそうだ。 「よかったー、さすが助祭様」 「もう、いうなよ」 彼らはサグラダファミリアの孤児、聖職者になってもならなくても十五になったら教会を出なくてはいけません、人が多いので、自分で仕事を見つけなければならないのです。兵士は一番簡単に職につけ、その間にやりたいことを見つけ、やめる、そんな感じだと聞いています。戦いの場に聖職者は必要みたいです。でも彼らの多くはただの兵士で終わるようです。 「試験うけておいてよかったね」 私のおかげ、読み書きを教わったから、試験にも合格できたんだという。彼らは教会を立て指導できる立場にいます、そんな場所を探すため、兵役に出たのです。まだ四人いますが、彼らもここで、働きます、今はまだ、大工のようなことをしてもらっています。 「兵士はもうだめだからね!」とほっぺたを膨らませました。 「ハハハ、こんなことになるなんて思わなかったからさ」とつつかれた。 「でもさ、本当にいいのか?」 「うん、そこはお願い、隣からいっぱい流れてくるはずだから」 「わかった、そこは任せておけ」 教会関係者のお兄ちゃんたちが教会を作りました。粗末な建物ですが、今はこれでいいのです。 「どうですか?」 「オ―、チサ、うまく行ってるぞ」 がんばって。 道を歩いているだけで声をかけられます。 食べ物屋さんも、できてきました。 店がなくても屋台でいいのです。 それに伴って、商店の荷車が、店を臨時で出しています。 よろしくお願いします。 小さな町役さん、よろしくね。 こちらこそです。 あちこち頭を下げて歩きます。 「ふわー」でっかい建物です、見上げてしまいました。でっかい看板にはナイトバタフライと書かれている。夜の蝶…あー、あっちかな?と思わせる名前。 ごめんください、店の中はがらんとしています。 「チーです!きたよー」と声を掛けました。 女性が上からのぞき込んでいたのに手を振りました。 「姉さん、チサちゃんが来たよ!」 キャーというような黄色い声で女性たちが集まってきた。 彼女たちは身を寄せ合いながら、体を売っていた悲しい女性たちだ。 話を聞いていた時に出会ったバニラさん。 彼女は女性たちの元締めをしていたんだ。 「ありがとうよ、大手を振って商売ができるなんて夢にも思わなかったよ」 ありがとうと言われ照れます。 ここは、んー、ホステスさんがいっぱいいるところ、きれいどころがわんさかです。そして、これを合法化したんです。ここの中だけなら大手をふって商売ができるのだ。 「店を大きくするのは皆さんの腕にかかっています、どうかいっぱい稼いで、この国一番の店にしちゃってください」 かわいいー。 もう、食べちゃいたい。だって、私もねー、一応、元女だしね。 よろしくー。 そして、ここもまあ、うわー。ガラスかな?きれい。こっちは、ブラックナイト?黒騎士?いいのか? 「おー、チサ」 「来たよ、みんなはどう?」 「オウ、まあ、中へ、オーナーもいるからさ」 こっちはホストクラブのようです。 「オーナー、チサが来たぞ」 男臭いです、でもそこは花の匂いを振りまきましょう。どさりと花を置きました、きれいに飾ってください。 「チサ―、俺ドキドキしてるんだけどー」 おー、イケメン、いい男だねー。と胸に花を刺してあげました。 そうか? とにかくみんなには、男の魅力で、貴族や金持ちの女性から、バンバン金を落とさせてほしい。 「一つだけ、体を求められても手を出さないこと、そこが一番問題になるからな、それができないなら、つぶす」 「キャー、つぶされたい」 おい、おい、男性の客も来ると思う、そこは頼むな。 「まかせとけ」 「みんな、よろしく頼むぞ」 「おー!」 「お疲れ様、どう?うまくいきそう?」 道で作業している人に声をかけました。 「夜に試してみます」 「うまくいくといいなー」と上を見上げました。 「アッシらも楽しみです」 「うん、ケガだけしないでね」 「それじゃあ」 明かりです。 ランプですが、そこはいろんな知恵があるので、ある程度の時間で回ってもらいます。 ついたら、きれいだろうなー。 火事にならないように、少しの燃料で明るく、それが大変だった―。 道端にはガス灯のようなものがきれいに並んだ。
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