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サーて、お腹がすいた、どこに入ろうかなー。やっぱり、あれだよねー。 「ヘイいらっしゃ、なんだチサじゃねえか」 「なんだはないだろ、おっちゃん、塩ラーメン」 「はいよ、小盛でいいな」 「えー?」 「仕事だろ?腹八分目」 「はーい」 「塩、子供一丁」 「親父、味噌ラーメン大盛り、ちょい辛ン?チサ?」 暖簾をくぐり、隣に座った大男。アロー叔父さんです。 「伯父さん、今お昼?」 「あー、もう大変だよ」 ハハハ、すごいね、マンパワー。 アー、一週間どころか五日でこの賑わいだ、うまくいくぜ。 行ってもらわなきゃ、戦わなくてもいいのならそれに越したことはないからね。 だな、流れてくるかな? がんばってみるよ。 明日か? うん。明日は応援団がいっぱい来るから、それも楽しみ。 「ヘイ、お待ち、塩ラーメン」 「わー、いただきます」 「あいよ、みそだ」 ドンと置かれたどんぶりは、てんこ盛り。麺はスパゲッティーの生、もちもちでやわらかめ十分です、後は店主たちの努力。 「ヒェー、なにそれ、食べれるの?」 スープが唐辛子で赤いです。 「野菜が多いからな食える、いただきます」 ずるずるといい音を立て、ラーメン完食です。 アロー叔父さんは忙しそうですが何も教えてくれません、黙っていようと思います、何か起きたら向こうから言ってくるでしょう。 にぎやかな街、露天商たちはよその国や、近隣の領土やオールト国から、店が持てるというので来てくれた人たちです。 いい匂い―、ウナギ―、夜だな。 おー、天丼だー。 「チサー」 可愛いウサギさんやネズミさんたち達女の子、ここは綿あめやだ、彼女たちは野菜や果物で色を付けたんだ、それだけで、きれいだから。 もちろん作り方はすべてレクチャーしたぞ、それだけで大変だったけどね。フワー、眠い。 「がんばってー」 手を振ったらキャー、だって。 スイーツもできてきたぞ。ドーナツ屋は行列ができてるよ。 手始めに、働きたい人を集め、教会のすぐ隣に、簡単な屋台を作った。 一つは、卵ドン、安くて速くてボリュームのあるものだ。 そしてその向かい側には、さっき食べてきた、ラーメン屋。 麺は教会のすぐ前で、女性たちがパスタを作る場所を与えたんだ。 食べ物がいきわたり、小銭が入り始めると、それを元手に商売をしたくなる人たちが出てくる。 それを後押しするのが領主さまだ。 借金の肩代わりといったところだな。 それでもやろうという活気でみなぎってくる。 街をつくるのって楽しい。 ― ※ ― 「まだ先か?どこだここは?」 道の先に案内板が見えます。 「はー、まだまだ先、もう歩けん」 王様はそこに座り込んでしまったのです。 馬車は多く通り過ぎるのに、一台も止まってくれないと言っていますが、当たり前ですよね、止めなきゃ止まりません。 ― ※ ― 夜、領主さま。そしてアロー叔父さんとで、テープカットをしようと思います。 入口には、兵士を置きました、ここは、別世界、喧嘩なんかしたらすぐに牢屋行きです。 「うわー」 「きれいー」 「これは見事だ」 道に明かりがともり、店にも明かりが入りました。 大勢の人が道をふさぎました。 「それでは、皆さん、頑張って稼ぎましょう!」 おー! 「では、幕を引いてください!」「じゃあ行くよ、せーの!」 商店街のような名前が掲げられました。 「スターカラー通り」 星色通りか、こりゃいい。 「では領主さま、教会、助祭様、店を代表して、店主のみな様、テープカットをお願いいたします」 ハサミが渡り、道をふさぐテープが切られた。 教会の鐘の音が城壁に当たり町中に響いた。 「さあ、スターカラー通りの開幕です、皆様どうぞ」 立派な通りができました。 今日は、ここまで作り上げてくれた兵士の皆さんやボランティアの方々にお披露目です。 飲んで騒いで、大いに盛り上げてください! なんで色町を作ろうとしたのか?相手国の兵士を取り込み、兵士の数を減らすことも大事ですが、もう一つ大きなことが待っています。 「道をふさげだと?」 「馬鹿な、どれだけかかると思うのだ」 いいですか?もしも相手が入ってきたら、領主さまの屋敷まで、まっすぐな道しかないのです。 当たり前だ。 これだとすぐやられてしまうということだな。 そうです、だから、ところどころ、道をふさぎ、ジグザグに行くようにします、そしてここを見てください。 「空き地か?」 「空き地もありますが、公園や墓地です」 ここで一網打尽ということか? 「ですが、ここはあくまでも、兵士ではなく、すんでいる人たちにお願いしましょう」 「できるのか?」 なにも殺すわけではなく、戦意喪失というか、ここで兵を減らしてくれればいいので、街の人たちが石を投げたり、罵声を浴びせたりするだけでいいのです。 だが襲ってきたら。 抜かりはありません、この辺は、古い石造りの家が多く、入り組んでいるので、そんなに責めることはできませんから。 「おい、アロー、この子は本当に三歳か?」 もうすぐ四歳だ。ただ見た目は小学一年生ぐらいには見えるかな、あー小学校もないんだった。 「俺もたまに、おかしくなるんですよ、大人に見える時があるんです」 ほっぺたを膨らませながら、よろしいですか?と尋ねた。 ああ続けてくれ。 最後の城の前には、車のついた武器を数人で動かせるだけの人数だけおきます。 そんなのでいいのか? いいんです、ここまで追い込んだら袋のネズミ、四方から取り囲み、城の中へ押し込んでしまえばいいんです。 「は?城へだと?」 「そうですよ、最強の牢屋ですからね、みんなはいってしまったら、ガッチャン、私たちは外で見ていればいいのです」 「はー、アローよ」 「はい」 「これが終わったら旅にでも行かぬか」 「いいですねー、お供いたします」 「俺、温泉いきたい!」温泉、温泉。 “はー”といっている大人たちでありました。
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