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今私は、安い、麻のワンピースを着て、腰には、メデューサが持っていたものと思われる布を腰に巻き、わらじを履いて歩いていた。 「いるねー」 「いますね、孤児でしょうか?」 大分離れていますが、声は聞こえています。 じゃあ、別れよう。 はい。 カチューシャにつけた耳。自分の耳は隠します。 何かないかなー。 ん? 足元には麦の茎が一本。 それを振り回していました。 うわー、赤とんぼ?水辺があるのかなー? 見上げました、いっぱいいる―! 止まっているトンボの目をくるくる、羽を挟んでゲット! 麦には付けれない、あーこれ、これ、メデューサのゴムで結びつけた。 「風船みたい、へへへ」 こんなのでも楽しいな。 すると、向こうの方で、ビービー泣いている子。あやす母親の姿。お?羊さんだ。 そして、その向こうに家が見えてきた。この辺かな? 「どうしたの?」 覗きくむとぷいっと向こうむいちゃった。 ぐずっちゃってというお母さん。 おむつは? かえたという。 おっぱいは? 飲ませたばかり。 じゃあお昼寝は? んーという。 立てていると体をそらせて手から落ちそう。 お尻に手を入れ、身体につけて横にしてやる、上を向かせると、眠る体制になるから静かになるよ。 女の人は言われた通りしてみると、アーラ不思議、小さなお口があくびした。 「あらほんと、眠たかったのねー」 「あー!」 ん? 手を伸ばします。 「ああ、これ?はいどうぞ」 赤とんぼです、身体があおむけになったので空が見えるんです。麦をぎゅっとつかみました。 すると女の人は、腰にある紙袋をくれるというのです。 中にはお菓子のようなものです、ありがとう。 叔母さんはここに住んでいるんですか? 向こうにある水飲み場へ来ていたそうだが、人がいないのか、子供をあやしてここまで来てしまったという。 国境を目指していけば、馬車が捕まるかと思い歩いているそうだ、そうなんだ、バイバイ。 クッキーかな?あ―懐かしい味。ほのかな甘さは、おかき?まあ、まあだなー。 ぽつぽつ民家があり、畑は収穫が終わりかと思うと、草ボーボーでほったらかしのよう、もったいないねー。 人もいないようです。 ン?どういうことだ? 馬車の音がして、振り返ると、ものすごいスピードでかけて行きます。 なんだ? あーさっきの人が手を振っています。ン?逆だぞ?いいのか? また来ました。 帰るのかな? やっぱり猫じゃなかったなー、どっちかっていうとヤギ?羊?だよなー。 また歩き始めます。 手を後ろで組んで手招き。 シュッと走ってきた影が並んだ。 あの場車たちは何を急いでいるのか? もう少し先に水場があるそうだ。 私はもう少しプラプラ歩きたい。 では先にと彼は四つん這いになって走っていきました。 マジ人いねー。 どこもかしこも空き家というより、小屋?敷地を囲んだだけで家すらない場所もあります。 突貫工事の村、やっぱり、戦争の最前線に使うつもりだったのか…? お?サルビアだ。 へー初めて見たな。 真っ赤なジュータンのようです、自生してるのか? しゃがんでみます、あ、蜜、チュー、うまい。 しょっぱいのに甘いの最強だよねー。 立ち上がろうとして、おかきの食べかけを落としちゃった。 しゅっ! 「うわー」 横から来た何かが持って行っちゃった。うそー? 後ろからついてくる集団はちょっと怖いです。 猫の子たちがぞろぞろ。 んー、困ったなー? あ、見えてきた。 水飲み場でしょう、でも人がいません。 木に隠れているヒョウさん、それを追い越します。 「後ろ、やばい、もうちょっと先で交わすから」 少し走りました。 やばいよー、ワンピースを脱ぎ裸に。 「お願い、羽よ出ろ!」 フワーッと体が浮いた、そのままジャンプ!手を伸ばし、木の枝につかまってよじ登った。この頃、短い時間であれば羽の出し入れができるようになった、これ、案外重宝する。 あれ! どこ行った! 足元には結構な数です、困ったなー。 子供ばかり、親がいないのか、着ているものは粗末なものです。 十人ぐらいかなと思ったけど、三十人以上いるし、赤ちゃん抱いている子もいる。 さて、どうしよう。…お?いいこと思いついたー。 「おい、お前ら」 どこだ!と探してます。どーしようかなー、やってみるか? 「おい、上だよ、上」 いたーと指さします。 はいはい。 「私は神だ、何か用か?」 ウソだという子供たち。 「まあいいがな」 隣の枝に、飛び移ります。 「ウソ、あんな細い木に」 わざとだもーん。 「本当に神様か?」 「まあな」 ウソだという子供たちの頭の上をほい、ほい。 あー、いっちゃう。 「なんだ、腹でも減っているのか?」 食うもんあるか? 「んー、ないけど、そうだ、俺についてくるか?」 エーという子供たち。 「じゃあいい、バイバイ」 下に降り、手を振り、今来た道を帰ります。 「ねえ、あいつの腰、あれはなんだ?」 「きれいだ」 「あんなの人間じゃないよ」 こそこそ言っているつもりなんだろうけど、しっかり聞こえてるー。 「ついてこないのか?腹がはちきれるほどうまいもの食べさせてやる」 チサ、ダメだと、手で×を作り、首を振るヒョウさんの姿がかわいい。 「ウソだ!ここにいる全部にわたるわけないだろ!」 「まあいいけど」 ぞろぞろついてくる子供たち。 ヒョウさんを呼びました。 四つん這いで走ってきた彼が立ち上がると、おーっという声がしました。 「チサ、多すぎる」 「大丈夫だって、悪いけど、そのまま付き合って」 とにかく、このまま連れて教会へぶち込む、後は、どうにかしてくれる。 おい、そんな簡単に。 仕事はいっぱいあるんだ、こいつらには、国を行き来してもらう。 いいのか? やってみないと始まらないからさ。 「ねえ、ねえ」 いつの間にか足元にちび助。 「ねえ、まだ?」 アー、行き過ぎるところだった。 赤い花の絨毯、さっきのところです。 「はい、ここをチュって吸ってごらん」 「あ、まーい」 「はい、好きなだけ取ってごらん」 すると、ほかの子たちも手を伸ばします。 うわー、にゃんこの手、モフモフしたーい。 しばらく、みんなで蜜を吸っていました。 「ふん、こんなのでだまされるか、足りねーよ」と強気な男の子。 「そうなのか?私は神だからな、さほど食べなくてもよいのだが……」 小さい子の視線の先は、ああこれか。 紙袋を動かします、みんなの顔が動きます、楽しいです。 「チサ」 あ、やりすぎた、目をまわしている子、小さい子で分けろと渡しました。 偉いねー、ちゃんと分けてる。 しばらく歩き、林のほうへ。 一本の木のそばで立ち止まりました。 「おー、なかなか」 「割れていますね」 「ウエー、これべたべたの木だ」 「嫌だなー」
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