第5章 誰のための戦い  第55話 皇子の妹

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第5章 誰のための戦い  第55話 皇子の妹

― ※※ ― 大昔、この陸地は一つの国だった。その王が亡くなるとき、国を子供たちに分けたという。五つに分けた国、五大国。だが今ではばらばらの考えを持ち、独立した国となっている。 その中心にあるのがラグラダ王国。 国の中には、五つの領地があり、その一つ。 カーニャ領にあるラシューノ村。 そこには大きな教会がある。 ハレス教会、そしてその建物の名をサーダルリアーといった。 長老の所で保護した子供は、黒龍の巣にいた子、彼は教会で名をいただいた。 名をチサ・ノマージュ。 彼は不思議な子で、言葉を話せるようになると、自分は過去の記憶を持っていて、この建物はガウディという人が作ったという。 そしてこの建物の名を彼はこう言った。 サグラダファミリアだと。 枢機卿は、身近な者たちだけに彼が救世主だと言い放った。 ここ数年の飢饉により、深刻だった食糧不足。彼は過去の知識をわれらに与えてくれた。この教会、この村に、さらには五大国へと広めた知識。彼は本当の救世主となったのだった。 長老の家族、親戚たちは彼を家族んの一員として招き入れ。ガブとパルート夫婦の子供としてすくすく育っていく。そして彼はたくさんの人と出会い、友を作った。 そして、俺たち三人はチサを見守ることにした、兄弟の一番末っ子として。 ― ※※ ― ドアに耳をあて中の様子を聞いる弟二人、何を聞いているのか、耳としっぽがせわしなく動いている。 「何やってんだ?ジャル、メルー」 シ―ッ! おお兄ちゃん、シッ! 中には、チーが永い眠りについた原因の皇子の妹がいるという。はあ?なんで?わからないという二人とともに俺もドアに耳を近づけて中の様子を聞きはじめた。 ハア、どうしたもんか? 目の前で、スカートを握りしめ、涙がこぼれないように必死で我慢している女の子。 ラグラダ国の皇女、ラグラダ・シューリッヒ・マリー。 彼女は八歳という年で私にプロポーズしてきた。 アロー叔父さんが彼女を途中までつれてきて、ちゃんとした人に後は頼むといって仕事に向かったらしい。私は呼ばれてじいちゃんの隣にいた。内容は、ダメダメな父(この国の王)と兄からこの国を救ってほしいという助けをこうものだが。あの兄の妹、そっくりというか、ハー。ため息をつくも、話を聞くと案外そうでもないようだった。 「王女様どうかお顔をお上げください、本日はお一人でいらしたのですか?このこと王様は…?」 「知っております…書置きはしてきました」 書置きって。 「じゃあ、今日は挨拶だけってことで・・・ね?」 こういう場合どうすんのよー! 長老と目が合ったが、首をぶんぶん振った。 「まあ、二人とも幼い、今はまだ、遊んで食べて、もっと大きくなってから…」 「そんな悠長なことは行っていられません!」ガチャンと音を立てたテーブル、彼女が立ち上がったのだ。 ・・・は? とにかくおかけになりましょう。 椅子に座らせ、お茶を出しなおした。 「美味しいよ?」 「これを、チサ様が」 「…どうぞ」 こくっと飲んで、おいしいと言ってくれた。 ただのほうじ茶だけどな。 彼女はこの国のおかれている立場?違うな政治的なことを話してきた。 あののほほんとした王様は、周りに言われるまで動くことがなく、自然に任せておけば何とかなると思っているお方。 へー自分の父親をそうみているんだ。 兄上に置かれては、情けないほど自分勝手で人の痛みを知りません。 すごいじゃん、妹。 母親にいたっては、若い男性と一緒にいるばかりで、家族の事なんか…。 ありゃりゃー。 「そんな家族です、そんな人たちが民を、この国を守れると思います?!」 まあ、無理だわなー。 「なぜそう、思われるのですかな?」 彼女はスカートをぎゅっと握りました。 ン?こりゃなんかあるな? 「…たぶん、このままでは戦争になると思います」 戦争?あー、おお兄ちゃんが言っていたのはこのこと? 「ほう?それはなぜですかな?」 東にある、ナストール国、この国は、猫族以外の人種を受け入れません。 まさかがよぎった。 私は、そばに居るボブさんに、パパさんを連れてきてほしいと頼みました。 ご存じとは思いますがナストール国と接する、カス―チャ領は、私の叔父が守る領土です。 ん?バーシアではないの? どうも、王様の前の代のお妃さまの方の関係のようです。お隣のカス―チャの方が現王の親戚の血は濃いらしいのです。まあ、姫様を見たら、羊じゃないよね、犬だし。 まさか兄弟? 王女様はこくりと首を動かしましたが本当の兄妹ではないようです。 爺ちゃんが言うにはいとこの関係だな。 ドアが開いて俺たちは、チーの言葉が聞こえていたから少し離れて知らないふりをしたんだ。ボブは気が付いていないのか、走って行っちゃったし、俺たちはすぐに耳を付けたんだ。
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