8人が本棚に入れています
本棚に追加
「確かにタイムリープの能力は得ました。しかしタイムリープ能力には制限があって、わずか三十分しか過去へ戻れないし、連続ではタイムリープできないようになっていた……。もしあのとき、あの話を持ち掛けられたときに戻れるなら、私は断っていたでしょう。二千万円の借金は確かに私のものです……」
沈黙している三条を見て、
「やっぱり、信じられませんよね……」
公営ギャンブルで稼げた理由はこれだったのだ。わずか三十分時間を戻るのではロト宝くじを当てるのは無理だし、銀行口座からカネが引き出されてしまうおそれから株の売買には手が出せない。
辻褄は合う。だがいくらなんでも……。二千万円もの借金にしても、どうやって新・土井ローンからおカネを借りられたのか、占い師が糸を引いていたとしてもその仕掛けが不明だ。そもそも、そんなことが可能なのか。
そこへ、先野が戻ってきた。手にはレジ袋。タバコついでにコンビニに行ってきたらしい。発泡酒の缶を何本かテーブルに乗せた。
「先野さん、お酒は……」
「発泡酒ぐらい、いいだろ。カタいこと言わずに三条さんも飲むといい」
プルトップを開け、ぐいっとあおる。自分が飲みたかっただけかもしれなかった。
最初のコメントを投稿しよう!