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仕事を終えて、更衣室で私服に着替えていると、先輩の飯島さんが声をかけてきた。
「環ちゃん、暇だよね?」
「そんな決めつけるみたいに言わないでくださいよ」
「ごめん、ごめん。でも何も予定ないでしょ?」
「ないです」
「ご飯奢ってあげる」
「嬉しいですけど、何か裏がありますよね?」
「やだ! 善意よ、善意!」
「前もそう言って、合コンに連れて行きましたよね?」
「そうだったっけぇ? 記憶になーい」
「そうなんですね」
「何?」
「行きません」
「そこに座っててくれるだけでいいの! なーんにも話さなくていい! 何なら話しかけられても無視でいい! だからお願い! ね? 今日は全部、奢りだから」
「奢りって……どことなんですか?」
「お医者さんとそのお友達。4対4なんだけど、来る予定だった子が熱出して急に来れなくなったのよ。それで人数が足らなくなったの」
「4対3でいいんじゃないですか?」
「ダメよぉ」
「だったら他の人を誘ったらいいのに。彼氏欲しい子いると思いますよ?」
「環ちゃんがいいの!」
飯島さんは、美人で、優しくて、尊敬する先輩で、わたしの過去を知っても態度が変わらないでいてくれる人。
そんな飯島さんに笑顔でじっと見つめられて、渋々了承した。
「本当に話しませんよ?」
「ずっと食べてるだけでいいから!」
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