勢いは大事

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 生田が仕事を終えて久世に電話をかけると、すぐ近くのカフェにいると言われたので車で迎えに行った。 「代行で帰宅するので、車で行きましょう」 「代行……? わかりました」  生田はそこから少し離れた場所にある創作料理のレストランへと車を進めた。 「早速2巻を購入いたしまして、一気に半分ほど読み進めてしまいました」 「これから先、凄い展開がありますよ」 「それは楽しみです」  二人はレストランへと到着し、コース料理を注文した。多様なカクテルが揃っている店で、二人は様々な種類を試してみることにした。酒は進み、会話は途切れることなく続いた。  盛り上がった二人はまだ足りぬと言って、そのまま近くのバーへ行きさらに飲んだ。深夜になっても冷めやらず、代行を呼んだ生田は、久世を離さず自宅へと連れ帰った。  マンション近くのコンビニで酒とつまみを買い込んだ二人は、夜が明けるまでさらに飲み続けた。  意気投合とはこのことか、と言えるほど同じことで笑い、同じ視点で物事を見ていることに親しみを感じた二人は、一夜で数年来の友人のように仲を深めた。
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