2ヶ月経たずして

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「あれ? 久世透の携帯……ですよね?」 「雅紀……どうした」  ようやく弱々しい声が返ってきた。 「今新宿にいるんだ。今日忙しい?」 「なぜ新宿にいるんだ」 「透と遊ぶために」  再び無言の反応が返ってくる。 「おーい、とおるー、聞こえてる?」 「……聞こえている……」  久世の声は弱々しいまま消え入りそうだった。  対して生田は陽気に言う。 「今忙しい? 予定ある? 連絡しないまま突然来たのは悪かった。お返しだよ、先週の」  そこで久世も少し笑ったようだった。 「そうか……わかった。では、今回は俺が飲みに誘う番だな」 「よかった。……どこに行けばいい?」 「今からそっちに行く。新宿と言ったか? なぜそんなところに。東京駅にいれば良かったのに」 「いや、繁華街とかあるかなと」 「赤坂がいい。西口にロータリーがあるのがわかるか? 車で行くからそこにいてくれ。少しかかるな。……30分以内に行く」 「わかった」 「この前と同じクラウンだからわかると思うが、もしわからなかったら電話してくれ」  久世はキビキビとした調子でそう言うと、すぐに電話は切れた。
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