2ヶ月経たずして

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 久世を追って生田もバスルームへ来た。さすがスイートルームというべきか、シャワールームの他に、家族で入ってもまだ余裕のありそうな大きさのバスタブがあり、窓は一面ガラス張りだった。リビングと同じ絶景をここでも楽しむことができる。 「すご! やば!」  生田は思わず声を上げた。 「この部屋はこれがあるからいいんだ」 「連れ込んでるな、ここに」  生田はニヤリとして久世を見やった。 「連れ込んではいない!」  久世は顔を赤くしてそう言うと、足早にリビングの方へと消えていった。  お湯が溜まっていく様子を眺めていた生田は、まるで露天風呂のようなその風呂に入りたくて堪らなくなってきた。  おもむろに服を脱ぐと、シャワーで身体を洗ってから、そのバスタブに身体をつけた。  戻ってきた久世は、ギョッとした様子で身体を強張らせた。 「雅紀、結局入ってるのか」 「こんなのを見てしまったら入らざるを得ない」 「ジェットバスなんだ、これ」  久世は言いながらリモコンを操作して、バスタブの中を泡で満たした。 「最高!」  ご満悦な生田を見て笑みを浮かべた久世は、持ってきたジャパンボトルを開けてグラスに注ぎ入れた。 「生田侯爵、いかがですかな?」 「これはありがたい!」
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