2ヶ月経たずして

11/16
前へ
/138ページ
次へ
 久世は狼狽えていた。  まさか生田と二人で風呂に浸かる事態に陥るとは思ってもみなかった、と言ったら嘘になるが、僅かな期待を宿してこのスイートを選んでみたら、まさか本当に実現するとは思わなかった。  実現してしまうと想像以上に狼狽えてしまって、不審な動きをする自分が恥ずかしくてたまらなかった。  相手は異性愛者なのだから同性と風呂に入ったところで平気だろうけど、こちらはそうではないのだから、と言ってもただの友人なら同様に平気だから、生田が相手だからなわけで……と久世の頭はパニック状態だった。  生田を見ないようにしていても、それが不自然にならないように振る舞うとぎこちなくなり、顔を見るとお湯の中が気になって会話に集中できなくなる。 「熱い! もう無理だ」  久世は嬉しさよりも恥ずかしさで限界だったためバスタブから出ることにした。  タオルで身体を拭いてバスローブを羽織ったとき、後ろから生田の手が伸びてきてバスローブを肩からずらし、久世の上半身を露出させた。 「触っていい?」 「え!?」  生田の突然の行動と言葉に久世は全身を硬直させたが、内心は慌てふためいた。
/138ページ

最初のコメントを投稿しよう!

443人が本棚に入れています
本棚に追加