2ヶ月経たずして

13/16
前へ
/138ページ
次へ
「これ、美味いね。ブランデーなんて普段飲まないけど、高いのかな? やっぱ違うもんだね~」  生田はジェットバスと高級なアルコールでご機嫌な様子だ。 「氷もある」 「あ、入れよう」  生田は立ち上がってグラスに氷を入れた。 「透もいる?」  生田が振り返ると、久世は飲み干したグラスに再び注いでいるところだった。 「飲み過ぎでしょ、それ」 「飲むために来たんだろ」  久世は目が据わり始めた。  切れ長の目で鋭い視線を向ける久世の目つきに、生田は一瞬動揺した。  今日のスーツ姿も同時に頭に浮かび、あの格好であの表情を見せたら女の子が放っておかないな、と思った。 「今日約束していた相手は付き合ってる人?」  生田は立ったまま話している。 「え? 誰……あーー」  久世は思い出したという表情でソファの背もたれに倒れ込んだ。 「いやいや、全然」 「写真ある?」 「写真? あるわけないだろ」 「つまんないな。自分のことを何でも話すって言ってなかったっけ?」 「俺が? 言ったか?」  久世はまたグラスを空けた。  生田は煙草に火をつけて久世の隣に腰を下ろした。
/138ページ

最初のコメントを投稿しよう!

441人が本棚に入れています
本棚に追加