2ヶ月経たずして

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「僕の話は聞いておきながら……」 「話せるようなことはない」  久世は隣を見ないようにして、またブランデーをグラスに注いだ。 「酔った勢いで話してしまえ」 「酔ってない」 「なんだよ。……いいけど別に」  そう言って生田は立ち上がって灰皿を取りに行く。  そのまま窓際にあるサイドテーブルに灰皿とグラスを置いた生田は、すぐ横のロッキングチェアに座って再び煙草を吸い始めた。  久世はその姿を眺めながらグラスの中のブランデーを一気に飲み干すと、立ち上がって生田の方へと歩み寄った。 「雅紀……」  声をかけられて久世を見上げた瞬間、久世は生田に倒れかかってきた。  生田は慌てて久世を受け止めると、意識を失っていることに気がついた。 「え!? おい! 透?」  生田は近くにあったベッドになんとか久世を寝かせて様子を伺うと、久世は寝息を立てている。 「飲み過ぎだよ」  生田は急性のアルコール中毒かもしれないと焦ったため、ホッとしたら力が抜けて、そのまま眠気に襲われた。
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