2ヶ月経たずして

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 久世は届けさせた新しい衣類をボーイに頼んで部屋に持ってこさせると、クローゼットにある生田の衣服の隣にそれを並べて掛けた。  バスルームへそっと忍び込み、シャワー室にいる生田に気づかれないように新しい下着もそこに置いた。  シャワーの止まる音が聞こえたため、久世は慌ててリビングへと戻って、先程と同じポーズでコーヒーを飲み始めた。 「これ、どういうサービス? こんなサービスもあるの?」  生田が下着姿でタオルを頭からかぶり、拭きながらリビングへと戻ってきた。 「サイズは合ってるだろ?」 「また透が用意したの? やめろよもう、金を使うのは」 「ついでだから。俺の着替えの」 「マメだな。マジでモテるだろ」  生田はクローゼットにかかっていた新品のシャツとスラックスを眺めてため息をついた。  またもやブランド物で、さらには生田の好みど真ん中だった。 「似合うよ」  透はニヤリとした口元を、拳で隠してそう言った。
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