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久世は青森空港からタクシーに乗り、俊介の実家の近くにあるコンビニまで向かってもらった。
駐車場に停車した後、タクシーには待機するように伝えて、車の外で一度電話をかけることにした。
今回はすぐに繋がった。
『はい、生田です』
「……久世です」
『え? あ、どうしたの?』
ガサガサと聞こえたので、スマホの画面をチェックしたらしい。
「今、青森に来ている」
『はあ?』
「お母さんの容態は、その、大丈夫なのか?」
『え? どこでそれを』
「悪い。俊介から聞いた」
『……ありがとう。ちょっと悪いみたいだからしばらく会社を休んでるんだ』
「……どこの病院だ?」
『いや、今は実家にいる。面会時間は終わったから』
久世はそれを聞いて、時刻は既に22時を回っていることに思い至った。生田のことが心配で時間の感覚が頭から抜け落ちていたらしい。
「……そこに行ってもいいか?」
久世はおずおずと聞いたが、生田の反応はさらに鈍い。
『あーー、うん、せっかく来てくれたんだからどうぞ、といいたいんだけど、うーん、ちょっと待って』
生田はそう言ったあと、くぐもった音の向こうに生田の話す声がかすかに聞こえた。
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