二つに一つ

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 嘘をついているようには見えないが、嘘だろうと思った。  久世は堪らなくなり、ビールを一気に飲み干した。  生田はそれを見てさらに笑顔を大きくすると、冷蔵庫から再び缶ビールを二本持ってきた。 「母親が病気だからって息子も暗くなっているわけにはいかないでしょう」  生田は陽気にそう言って、袋の中から様々なつまみやスナック菓子を取り出した。  久世も生田に合わせて陽気に振る舞おうと心に決め、見たこともないつまみやスナック菓子を物珍しそうに食べながら、生田と共に空き缶を増やしていった。
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