二つに一つ

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 そう考えた久世は、とりあえずゴミ袋を縛って玄関の近くに置き、掃除に使っていた雑巾も丁寧にすすいできちんと干した。  水を飲んで心を落ち着けていると、生田が目覚めたようで声をかけられた。 「おはよう」 「おはよう」  振り向いて久世も応えた。 「あ、透の世話焼き病が……ありがとう」  生田は部屋を見渡すと苦笑した。 「勝手に申し訳ない」 「いやー、それは僕の方だよ。させてしまうくらい汚かったわけだから」  そう言って生田は笑った。 「よし、それじゃあ、ちょっと待ってて」  生田は立ち上がり、洗面を済ませた後キッチンで料理を始めた。  久世はこたつに座っていて手持ち無沙汰のままで落ち着かない。 「なあ、何か俺にできることは」  久世は堪らず声をかける。 「ないよ。待ってて。……あ、暇なの?」  生田は久世の方に振り向いた。  大きな身体をこたつの中に縮こませてもじもじとしている久世を見て、生田は吹き出した。 「じゃあ、もう開いてるから、コンビニの少し先にあるイオンに行って買い出しして来て」 「イオン? 買い出しだな……わかった」
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