来客

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 二人はファミレスで夕食を取ったあと、生田の実家で一泊した。  生田の兄が到着するのは午後の予定だったため、久世の提案で午前中は家の中を大掃除することにした。  久世は朝早くから生田を叩き起こし、ゴミ袋を手渡して捨てる物と残す物を分別するように言った。自分は家の中にある掃除道具を引っ張り出してきて、水回りの掃除を始めた。  生田がゴミを集めると45リットルの袋が4つにもなった。  久世は生田に布団を干すこととシーツ類を洗濯することを命じた。  それが終わると、あちこちに散らばった様々な物をまとめて片付けるように言った。久世はコンビニから段ボールをたくさん持ってきていたので、それに家族それぞれの物を分けて入れるように命じ、自分は部屋の掃除に着手した。  広いとは言えない家ではあったが、生田の母も行き届かなかった部分にまで掃除の目を光らせた久世にとっては、久しくないほど難儀な仕事となった。  久世からの指示がなくなった生田は昼食作りを始めた。  記憶にあるどの状態よりも綺麗なキッチンを見た生田は奮い立たされ、長年試行錯誤をしたオリジナルカレーを久世に味わってもらうことにした。
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