2782人が本棚に入れています
本棚に追加
/42ページ
「ハァ…」
「大丈夫か?少し休憩する?」
「いえ…すみません…お水、いただきます」
倒れたあとに喋り過ぎてしんどい…というか、疲れた。
「うちへ転職して1年も経っていないが、シュネーズについてどれだけ知っていますか?」
私は、数年前に社長交代されてから業績がいいこと。海外取引が増え、増収のわりに店舗を増やさず、EC運営に注力して時代にあった経営、堅実な経営をされていること…
「…あとは、たまに会長がご家族で事務所に顔を出されること…知っているのはこれくらいです」
「家族ではないが……それはまあいい」
うん?家族ではない?会長が再婚された奥さんとお嬢さんだから?でも家庭の事情は深く聞く必要もないね。興味もないし。
「今の担当案件をリモートでしてもらえませんか?」
「無理です」
「フッ…即答…どうして?」
社長、僅かに微笑むとイケメン度が爆上がりですね…
「出勤せず在宅と提案して頂いているのだと思いますが、うちでは通信のセキュリティが業務レベルで確保出来ないんです。前の職場で、一度そういう話が出たんですけど…あ、アレと関係なく…」
「新型特殊インフルの流行時?」
「はい。でも、私が住んでいるようなアパートレベルではダメですね。会社でパソコンにセキュリティ対策をしてもらったとしても、ネットワーク環境が脆弱で、そうした脆弱性を攻撃者はセキュリティホールとして探し回っている。ルーターなどネットワーク機器が狙われるケースも考えると無謀…という結論に至りました。あと、業務内容的に完全リモートは、やっぱり難しい部分があると思います」
「アレの話からリモートの話まで聞いていると、伍代さんは理解力と伝達能力に優れていることがわかります」
いやぁ…初めて言われました…ビリッ………はっ?社長っ?辞表…破ったの?
「リモートはここでしてもらう。それでセキュリティに問題はない」
最初のコメントを投稿しよう!