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素直に“はい”と言うような、そんな甘っちょろくはないのよ…
と強気に思えたのは、もう辞める気満々で、この花城社長と話をするのも今日で最初で最後だと知っているからだ。
「社長、お言葉ですが…」
「どうぞ。秘書という、俺に近い立場で仕事をしてもらうには、意見を言えることは必至」
そういう意味で口を開いたのではないので“が…”の口で、ぽかんと固まってしまう。
「お言葉ですが?」
「ああぁぁ、はい…担当案件のリモートワークをするとして、勤務時間の半分くらいで終わる日が出てきます。部署内で、担当以外の業務もしていましたので」
「どういったことを?」
「受注入力などは、担当以外の案件も多かったです。フォワーダーや乙仲への連絡も…」
「無能な誰かのフォローをしていたと…」
「そうは言っていませんっ」
何という解釈なのよ…
「いろんな条件が重なることがあるんです。電話応対に時間がかかる日とか、急にお子さんの都合で退社しなくちゃならないとか、そういうことをフォローしあっているだけです」
「リモートになれば時間が出来るというのは、秘書業務に当ててもらえば問題ない。完全リモートが無理なポイントは週に一度か二度の短時間出勤で補えるはず」
「じゃあ…」
「ぶっ…じゃあって…」
富永さんが笑うけど、私は真面目だよ。
「じゃあ、私が出来る秘書業務って何ですか?しかも大半をここでということですよね?社長は出勤されているのに?やっぱり…業務より何より…おかしいですよ…」
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