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「どうして?希少な人格なら大切にすればいい。それも個性だろ?」
なんとっ…
「そういうことを言える人が会社の社長なんですよね…納得です。兄なんて、ゴールデンウィークが終わった頃から“なづ〜もうそろそろ来るかぁ”とか、10月になったら“もうビビってんなよ。ウジウジしつこい”とか言うんです…そこで喧嘩して、ビビりでない方の性格が覚醒するんですけど…」
「荒治療ってやつか」
「そうなんですかね…今そんなこと言われても引きこもるだけですけど」
「俺たちは兄弟がいないから、ある意味羨ましいよな、ヒロ?」
「だね。さっき言った富永長男のところが4人きょうだいで、まあ巻き込まれ兄弟みたいなんだけどね」
「間違いないな。じゃあ…奈津菜の不安がなくなるくらいの準備でいこうか…明日、午前中にヒロは奈津菜のパソコンを取りに行ってくれ」
「了解。部署内でリモートの説明をして、パソコンに必要な設定をするから、入らせてもらうよ?」
私のパソコンにログインするということだね、もちろんいい。
「その間、奈津菜は俺と買い物。どうやって生きてると言われる冷蔵庫ではまずいからな」
それもそうです…
「ヒロ、担当分のリモートは基本的に午前中、午後は秘書業務と伝えるように」
「オッケー」
「…あの…午前中の業務と…4時半頃にも担当分のメールチェックしていいですか?」
「構わない。ヨーロッパの始業時間に急ぎの連絡がないかをチェックするということだな?」
「はい」
「伍代さん、話が早いから本当に心配することないと思うよ」
そう言って富永さんは帰って行ったのだが…そんなにうまくいくはずなかったんだ。
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