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「私っ、店舗なんて無理ですっ。シフト勤務が出来ませんっ。子どもが休みの土日に働けない…」
「大丈夫です、ご心配なく。平日限定のシフトを希望されているということも人事部長に伝えておきます。現場も働きやすく整えていますから安心してください…ということは…富永」
「はい」
「人事部長には、転居の伴わない範囲の店舗でという指示も頼む」
「承知しました」
「では、課長はここの部長の連絡を待って面談を受けてください」
これで終わったと思ったら
「他に私に言いたいことがある方はどうぞ」
と社長が室内を見渡し、富永さんもこちらへ来ると
「社長にじかに声を届ける機会ですよ、どうぞ」
と社長に並んだ。
言えないよね…石野さんのを見たばかりだし…っていうのか、私なら何も言うことなかったな。
「あの…質問いいですか?」
あるのっ?
「どうぞ。お名前だけ、お願いします」
「営業の篠田です」
「営業ということは、ついてる事務の方は?」
「…それは何かに関係がありますか?」
「質問があるとおっしゃったので、篠田さんの業務体制を理解した方が的確にお答えできると考えました。それだけですが?」
社長…1ミリ顎が上がりました…
「伍代さんです」
「あとは、誰の担当?」
え、私?
「篠田さんと、枝野さんです。枝野さんは出張中です」
「枝野さんは知ってる。去年イギリスでいいブランドを発掘してくれた」
「はい、その関連出張です。雑貨を増やせるかと」
枝野さんは50歳くらいの男性社員だ。転職直後に担当になった私にいろいろ教えてくれた。
「篠田さんのご質問は?」
「先ほど社長が言った取引先のアンケートの結果は、私たちに公開されますか?」
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