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「俺がどうこうとか、バスケがどうこうでなくってだなっ。奈津菜の可愛さがヤバいだろ?なっ?」
など、半ば叫ぶようにして社長は隣へ消えた。
「…激しいですね…」
「なっちゃんに感情が出せてるってこと。ちゃんと夫婦になれると思うよ。お似合いだ」
「……感情が出せてる…出せない人?」
パソコンに、お中元の礼状と宛先一覧を二分割画面で並べた富永さんは
「社長になってから、会社では特に無表情だね。自分より年上の役員ばかりだとか、会長が以前店舗数を増やそうとしていたことに断固反対しての経営方針を打ち出したからには結果を…とか、ここまで気を張ってたんだと思う。役員には富永もいるから、敵が多いというわけじゃないけど、若い都志が今の結果を出すには自分の感情なんてどこかに置いてきていたかもね。住まいだけでも富永にくればいいって、うちの親も言ってたけど、そこも花城の意地みたいな感じだったし…なっちゃんといる都志は人間らしくていいと思う」
そう言ってから、私に礼状の印刷を任せた。
社長というのは、きっと私が想像出来ないくらいの頑張りが必要なのだろう。
私も…きっと他の人が想像出来ないくらい嫌いなモノがあって、彼がそこから救い出してくれたんだ。
頑張って、仕事も家のこともやるぞ~!
と…マンションに帰ると
チュッ…
「お疲れ、奈津菜」
ほっぺにキスが落ちてきた……
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