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「ぉ、おっかえりなさ…ぃ…都志…」
ギュ……ッ……
「奈津菜…」
隙間なく、ぎゅっと抱きしめられると
「ちゃんと好きで結婚するから…大切にする。前は見ているだけだったけど、ここで奈津菜が話すのを聞いているとどんどん好きになる…まだまだもっと好きになる」
とても穏やかな声にも包まれた。
「前って…ある?」
「誰の目を引いても困ると思うくらい、何度も…何度も俺の目を引くんだ、奈津菜が…」
全く知らないことだったけど、びっくりするより少し安心した。私がここにいる意味が、アレからの避難ではないんだと少しは思えるから。
「何もかも一気に変われなくても、こうして一緒に過ごしていれば大丈夫だと、俺は確信してる。これからずっと……よろしくな、奈津菜。よろしく甘えて…」
っ…よろしく甘える……
「頑張って…みます……っと…この隙間ない距離が…ご夫婦サン?なのかもしれない……と思ったり…いろいろ頑張ります…都志が…社長じゃなくリラックス出来るおうちと奥さんを…目標に……かな」
「嬉しい宣言をありがとう、奈津菜」
彼の本当に嬉しそうな声に誘われて、私も彼の腰に腕を回すと、彼は私の背中で水平だった右腕を立てるようにして大きな手で私の頭まで抱え込んだ。
わぁ…すぐに二人の呼吸と鼓動がぴたりと揃う……それは…とても優艶な抱擁だった。
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