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都志に与えられたときめき鼓動の居場所は、胸だけでなくすーっと全身に広がる……これまでにない感覚だった。
そのあと、私が食事の用意のためにキッチンへ行くと、彼は
「片付けはするから頼むな」
と忙しそうに自分の部屋でガサゴソし始めた。探し物?そう思いつつ、かぼちゃを切ることに集中する。これは集中しないと危険だ…よし…
数ミリの厚さに切ったかぼちゃをレンジでチン…うん?都志が私の部屋に行ったな…なんだろ?と思いつつ、土生姜とニンニクをみじん切りにする…よし…
「え…都志……それ、どうするの?」
「部屋、引っ越し。こっちのクローゼットに少しは入りそうだ」
彼は私の安っぽいプラケースを重ねて、主寝室…自分の部屋へ運んでいるのだ。お部屋…一緒…当然か…と、一瞬ぼーっとした私に
「夕飯、なに?」
プラケースを置いてもう一度私の部屋へ向かう都志が聞く。
「ぁ、あのね…麻婆豆腐とか…私の麻婆豆腐あまり辛くないんだけどいい?」
「いい。俺、辛いの得意じゃない」
「良かった、一緒だ……」
みじん切りちゃん達をごま油で香り立たせてから豚ミンチを……と麻婆豆腐を作りながら、手の離せる時にチン済みのかぼちゃを隣でバター焼き。どっちもヒーターを止めてから、トマトをスライスしてオリーブオイル、レモン汁、ハーブソルト、粗挽き黒胡椒を振りかけて冷やしトマト完成…のみっつで、いいかな。
「都志、ご飯出来た」
「早いな」
と言う都志が飛んでくるのが早い…
「マジか…豪勢だな。色と香りだけでも美味しいの決定って、俺の奥さんすげぇ…」
そんなに真剣に言われると照れる…
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