驚きの連続です

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「なん…」 「私が給湯室で聞いたのと同じですね。下品な話でしたが、そんなに言いたければここで皆に聞いてもらったらどうです、篠田さん?」 口を開いた社長の前に立った富永さんが少し大きな声で言う。 社長と目が合う…ああ、都志の顔だね…私は大丈夫だ、とコクコク頷くと 「篠田さん、言いたいことは今、どうぞ」 と社長の顔に戻った。 ここにヤツが絶対に出ないこと、私は花城だということを心で唱えるとトリハダもでない。 「Gが出たと聞いただけで倒れて出社拒否とか、世界中を探してもいないんじゃないですか?」 「まず、憶測でものを言うのはやめた方がいいと忠告します。それから伍代さんは出社拒否をしていません。なので、今の篠田さんの発言は何の意味も持たない。他には何か?」 「えぇぇ…っ…Gって…まさか……奈津菜さんのこと言ってる?」 「ああ…枝野さんは、私が最初に社長や部長へ報告した時におられなかったですね。数名が、伍代さんをそのように呼んで、良からぬ噂話をしていたのは事実です」 「ェエエエエエエッ…奈津菜さん、気にしちゃダメだよ?ぇええええぇ……信じられない…うちの中学生の娘たちより程度の低いコソコソバナシだなぁ……うそだぁあああぁぁ…奈津菜さん、出勤してよー?」 枝野さんの取り乱し方に、私は自分のトリハダ確認の暇もない。 「…コソコソコソコソ…リモートに秘書業務って、特別待遇ですよね?」 「出来る人材に出来ることをしてもらう、それも会社に有益な方法で…経営者として当たり前の対応をしたまでです。先日もですが、篠田さんはどうも私に信頼がおけないようですね。伍代さんの業務変更で、あなたの業務に支障がありましたか?だいたい…今どき、リモートをコソコソと言うような労働者…人事部長はどう思われますか?」 「Gの高評価…本人の前でやっかみもここまでくると処分でもいいくらいの言葉でしょうし…リモートも時短で帰る人もコソコソと言われていそうですね…困りましたねぇ。どこの店舗にも時短勤務者はいるんですよ…」 「そんなことをコソコソなんて言いませんっ。私はただ、ここへ来て一番日の浅い人間が一番評価されるような事に納得がいかないだけですっ」
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