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「うちは年功序列よりも成果主義でいきたいと考えて、中途採用者を増やしています」
「社長のおっしゃる通りで、その効果が出ている典型的なパターンが伍代さんということです」
「困りましたねぇ…神戸の店舗へ行ってもらったら、篠田さんは一番日の浅い人間ですよ…」
社長→柿本部長→人事部長…どう収拾します?
「まあ、人事では篠田さんからの内示の返事を待ってください」
「はい」
えー社長…ごく普通に話を終わらせるんですね…
「福田さんは早く異動したいという希望でしたから、伍代さんへ引き継いで…引き継ぎの期間はどれくらい必要ですか、福田さん?」
「今、先方が夏休みに入ったので…」
「じゃあ、担当営業がいれば伍代さんは業務が出来ますね。人事部長、明後日福田さんの異動」
「はい。さすが社長、社員の気持ちを汲み取っての采配が早い」
ちょーっと?担当営業が、あの出来る男女なわけで…もしかしたら彼らがほとんど自分達で処理していれば…いいのか…?
「伍代さん、今日福田さんの引き継ぎ頼みます」
柿本部長…畳み掛けですね…でもたぶん大丈夫…都志が無理を言うことはない。
「はい、分かりました…福田さん、よろしくお願いします」
「そうやって“自分は出来ます”っていう顔して、商社か何か知らないけどいい格好してて、今に潰れるに決まってるわっ」
これには何人かが反応したけど、私もカチンときたし、都志や富永さん、それに枝野さんに守られてばかりも嫌だ…
「篠田さん…出来ますっていう顔って分かりませんけど…私は“これが自分の仕事”という線引きをするより、出来ることはやるということを繰り返してきただけです。それをいい格好だとか、コソコソ…とか…」
Gとは言えない…口に出来ない…と自分の手を握る…
「とにかく…普通に勤務時間内に出来ることをやるだけです…これからも。商社のことを言われても困ります…私は私の事情があって転職をして…本当に出来ることをやるだけですから…」
思ったより大した反論は出来なかったな…
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