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「本当に商社にいたの?ここがアパレルだって分かってるっ?」
え…篠田さん…怖いって…距離があるけど噛みつかれそうで思わずのけぞった…
「いつもいつも同じような格好で、お洒落要素ゼロ。そんなので、よくここに就職出来たわねっ」
「それは全く関係ないでしょ?ここは店舗じゃないし…」
「僕も夏は毎日ポロシャツだよ」
デキる男子と枝野さんが驚いたように言う。
「篠田さん、雇用にまで何か言いたい?」
……うん?人事部長…急にやさぐれました?
「うちはモデルを募集してるわけじゃないんだよね。仕事の出来る人を探してる。だから伍代さんが毎回リクルートスーツで出勤しようが、文句なし。このあと篠田さんとは私が責任持って面談します、社長。これではどこに行っても同じです」
「よろしくお願いします。さっきの話…伍代さん」
「はい…」
「ここにフルで戻るということに関して、今の意見は?」
ああ…都志と富永さんはここまで私を囲って守ってくれていたんだ…と彼らの視線と表情から読み取る。秘書は富永さんで十分。だけど、ここから一旦離してくれたんだね。
私が皆にちゃんと返せるものを持っているなら、やるのみ…だ。
「柿本部長と枝野さんが出来ると判断してくださったなら、出来ると信じてやるだけです。明日、ここへパソコンを戻していいでしょうか?戻りたいです」
で、決まったのはいいけど…また枝野さんがもぞもぞと言い出した。
「冷蔵庫…使いたいんだよね…出張が終わって来てみれば冷蔵庫が使えなくって、連日僕の愛妻弁当のピンチなんだよ…社長…なんとかお願いします」
これに多数の賛成があり、無事給湯室と冷蔵庫が使えることになった…想像していなかった驚きの展開だよ。
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