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心得違いのようです
「違うところに来ても、果物野菜の次に魚…不思議と肉じゃないんだよな。意味のある陳列なのか…?」
都志はスーパーに興味が出たようで、今日は初めてのスーパーに来た。
で…いつもなんだけど…スーパーで彼がカートを押してくれると、私はどうも手持ち無沙汰というか、引き連れて歩いてる感が落ち着かないというか…ウロウロ前後に不審な動きをしてしまうので、結局…押してもないけど片手は一緒に押してる感じでカートに置いてしまうのだ。
都志は並んだ私の左手小指と自分の右手小指を絡ませてカートを押す。
普通のスーパーで、どうやってこんなドキドキが生まれるのか分からないけど…こうやって生まれてます…照れる…
「シュネーズのディスプレイにルールはある?」
「店舗によるけど、基本的には一般的なアパレル店より、マネキンでなくトルソーが多め」
「どうして?」
「セレクトショップだから、店舗にひと桁数しか入荷のない商品も多い」
「そうか…これが欲しいって言われた時に、ディスプレイの現品をお渡しする確率が高いってこと?」
「そう。だから扱いやすいトルソーが多め」
「なるほど…あ、冷しゃぶ豚特価…これにしようかな…あ、違うなぁ…」
「奈津菜、それ、なんで返した?」
「特価の文字に惹かれたけど、これブランド豚で通常価格がお高いからあんまり特別な価格でなかったの」
「俺、そのブランド豚を奈津菜と食べたい」
彼は私の返した豚しゃぶ肉の1パックを2パックにしてカゴに入れる。
「優しい倍返し…」
「年中奈津菜限定」
照れる…
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