心得違いのようです

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「奈津菜、本当に大丈夫か?富永に泊まっても、ホテルに泊まってもいいんだよ?」 都志は予定されていた韓国への出張へ、一緒に行こう、と言ってくれたんだけど、私はパスポートを持っていない…だから、通常通り出勤しながらお留守番決定。 すると、彼は一人の私が心配らしい…これまでも一人暮らしだったから…と言いつつ、淋しいのも事実で…でもこんなことは、これから何度もあるのだと、彼を送り出した。富永さんが都志を引っ張って行った感はあるね… いつも通り、薄いブルーのシャツに履くだけですらっと脚長に盛れる(と私は思っている)ネイビーパンツで出勤したこの日のお昼、またしても乳酸菌飲料を給湯室で立ったまま飲み干すと 「あなたが伍代さんかしら?」 “ら”で小首を傾げる会長の娘さん…金美(かなみ)さんと、その後ろにいる会長の奥さんが私を見ていた。 「はい…」 「私を知ってる?」 唐突な質問に一瞬返事が遅れたけれど 「……はい、会長のお嬢さんと存じ上げております。はじめまして…」 と私が言った言葉に彼女は被せてきた。 「まだお嬢さんと言われることはないんだけれど、このあとそうなるのよ」 うん?ちょっとおっしゃっていることが分からないです… 「まだ花城に入っていないのよ、私」 ああ…会長と奥さんが内縁状態だということをおっしゃっている? 「私が都志さんと結婚して花城に入るの」 「あなた、彼の部屋に押しかけているようだけど…なんてはしたない…彼と娘との約束の邪魔立てしないでくださる?」
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