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どうしよう…帰ってみる?
終業後、なんだか恐る恐る歩きながら考える。
都志に電話するには早い時間過ぎる…そもそも私が電話すると迷惑かもしれない…好きだときちんと伝える前で良かったのかな。
金美さんとの結婚は、会長との関係を考えるとある意味スキャンダラス…だから直前までのカモフラージュにちょうど私……そういえば…倒れた日、部屋まで都志に送ってもらった時…彼は先に車を降りて
「ここは大丈夫なのか?」
「ここにヤツはいないのか…?うちの会社のきれいな段ボールより…ずっと住みついて居そうだが…?」
と立て続けに聞いてきたよね。
あれって、もう
“ここにはヤツが出るぞ、出るぞ”
と私を怯えさせてたんだ…倒れたばかりの弱っている乙女を狙った確信犯。
まんまと引っ掛かってしまったな…
自分を“乙女”と思った気持ち悪さにも気づかぬまま、会社を出ると…
「あー、なっちゃんっ…お疲れ様〜乗ってちょうだい」
はい…?大きな声に足を止めると、すっごく大きなシルバーの車の後部座席の窓から顔を出している雪子さんだ。
サングラスも大きいけれど、一度会ったら忘れられない勢いの人だから分かる。
うーん…雪子さんも騙されてる人?分からないな…
そう思った私はとっさに走って逃げた。あっつ…
「こらー待ちなさいっ。捕まえてーその子、逃さないでーとっ捕まえてーお礼はしますっ。捕まえてー」
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