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お礼はします…お金に物を言わせた反則ワードじゃありませんか…ほら…
すぐに部活帰りっぽい男子高校生3人が私の行く手を遮り、円陣を組んだ。
「ありがとうございます、助かりました。はい、冷たい物でも食べてちょうだいね」
えぇぇ…高校生に万札ですか…
「「「あざっすっ」」」
きれいに挨拶が揃った高校生が弾む足取りで離れて行くと…ガシッ…
「ちょっと…奈津菜さーん?私から逃げるとはナニゴトかなぁ?」
背の高い雪子さんは私のブラウスの首の後ろを掴んで顔を覗き込んだ。
「ナニゴト…デスかね…?」
「まあいいわ。買い物に付き合ってちょうだいな、なっちゃん」
「……はい」
一度会ったのは婚姻届に署名してもらった時。なんともチャキチャキした人だというのが第一印象だった。
今日もチャキチャキの登場ですね…
「ごめんなさい…無駄遣いさせてしまいました…」
「そんなことより、逃げたことを謝りなさいよ」
車のシートに並んで座ってそう言われると、さっきの“まあいいわ”がウソだな…と思う。
「ごめんなさい……理由というか…ひとつ聞いてもいいですか?雪子さんも知らないかも…ですけど…」
お義母さんでなく、雪子さんと呼ぶようにも言われている。
「私が知らないことってある?なに?」
「…あの…ですね…この前の婚姻届って………ホンモノ?」
「………………なっちゃん、居眠ってる?寝言?」
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