6288人が本棚に入れています
本棚に追加
記念日…照れる…
「奈津菜、可愛く照れるのもここではダメだ」
シーン……とした中で、富永さんだけがクスクスと笑っている。
「なっちゃんも一言挨拶どうぞ」
「これからもよろしく、だけでいいぞ」
「ここで働くのはなっちゃんだよ?」
「結婚してもしなくても奈津菜は真面目に働くから何も変わらない」
「なんで、そんなになっちゃんの言葉をもったいなそうに言ってるんだよ」
「俺の奈津菜だから」
「ちょっとっ…従兄弟組で揉めないで…」
「「「「「「「「え、そこ?」」」」」」」」
富永さんと部長も含めた全員の声と視線が私を襲う。
「へっ…?いま…頭の上で揉めてたでしょ?」
「あらあら、へぇ~伍代さん、いい感じよね。そうでなくっちゃ、社長の嫁なんてやってられないわよ。部署はここのままでいいの?」
皆は“俺の奈津菜”に反応していたらしいが…私には免疫が出来ていて分からなかった…
「はい、田村さん。このままお世話になります。皆さん、よろしくお願いします」
「「「「「「おめでとう」」」」」」
ここで拍手に包まれ…報告終了でいいね。終わった…
「伍代で大丈夫か?」
拍手にまぎれて、都志が私に小さく聞く。
「うん、もうなんともないから」
「じゃあ、取引先にも言わなくていいな」
コクコク…
「質問いいですか?」
と手を上げた松井さんが、誰の返事も待たずに聞いてきた。
「今日の伍代さんのカットソーとヘアバンド、見たことなくて、それでいて似合っていて素敵だなと思っていたんですけど、社長セレクトですか?」
「ああ…この韓国のヘアアクセブランド、契約してきたので、こちらの部署へ引き継ぎます」
「「「「「ェエエエ…ッ…契約?」」」」」
最初のコメントを投稿しよう!