私が社長の妻です

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「ちょっと、今度こそちょっと待って下さい、社長。仕事の話です」 「どうぞ、枝野さん」 まだざわめく中で、仕事と言われたら雰囲気が変わる都志はカッコいい… 「ヘアアクセブランドと契約とおっしゃった?」 「はい」 「うちはアクセサリー、ジュエリーなどのブランドとは契約がなく、小物類は衣類で契約しているブランドからのトータルコーディネートという形でのみ入れていますよね?」 「そうですが、慣例は変わることもあれば、例外もあるということです」 ここで松井さんが質問だ。 「今後、私たち営業もアクセサリーブランドを新規開拓してもよいということでしょうか?」 「いえ、それはダメです。これまで通りのトータルコーディネートが出来る範囲内でお願いします。シュネーズのメインは創業時より衣類です」 「………もしかして…伍代さん、そこのブランド好き?」 「ノーコメント。奈津菜、答えなくていい。仕事じゃなく個人情報を聞かれてるからな」 個人情報…なのか?皆さんの視線が痛いんですが… 「ここの契約を引き継ぎたい方がいれば引き継ぎます。なければ、私が直接取引するので構わないですが」 「私、やりたいです」 「では、松井さん。夏季休暇明けに引き継ぎます」 「よろしくお願いします、社長。奥さまの好きなブランドだと拝察いたしますので、奥さまにも時々ご相談しながら仕入れたりしようかな…と思いま…」 「ぜひ、そうして下さい。ありがとう」 ザワ…ザワザワ…ふふふっ…ふふ~…あははははっ…… 皆さんのざわざわが笑い声に変わり、都志はポン…と私の頭に大きな手を置いた。 「ここで大丈夫だな?」 「うん、大丈夫」
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