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「もっと欲しいにゃん」 「……え、いや。あげねーよ!?」 こいつ、いったい何者なんだ!? 全く理解が追いつかない。 俺は窓を全開にして、思わず叫んだ。 「おまわりさぁぁぁん! こっちに来てくれぇぇぇ!!」 「無駄だよ」 その二又はすくっと立ち上がると、俺の傍までてくてくと歩いてくる。 肉球のせいで、全く足音がしない。 「無駄ってどういうことだ?」 俺は猫又を睨みつけた。 「ご存じかもしれないが、僕は猫又だ」 「……だろうな」 「警察に言っても、君は頭のおかしいやつだと思われる」 「なんだって……」 「なぜなら僕の姿を見ることができる人間は限られているからだ」  その事実を聞いたとき、窓の外でガコンッと何かが落ちる音がした。ちらりと窓の外に目をやると、自転車でパトロール中の警察官が、近くの自販機で飲み物を買っていた。
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