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「市村くん、お疲れさま」 「井口さん!」  演奏が終わり部室に戻る途中、学校の中庭で井口さんに声をかけられた。 「来てくれたんですね!」  俺は井口さんに駆け寄った。 「招待してくれてありがとう。素晴らしいライヴだったわ!」 「そう言っていただけて、嬉しいです」  俺は照れ臭い一方で、「素晴らしい」の一言にグッときた。 「蓮、その人は?」  弘が不思議そうな顔をしている。その後ろから優さんがひょっこりと顔を出した。 「彼は猫村楽器店の店員さんで、はっちの友だち。この間ギターメンテナンスをしてくれたから、そのお礼にライヴに招待したんだ」  それを聞いた井口さんは、ニコッと笑った。 「ベースとドラムの子ね。はじめまして、井口です」 「はじめまして、山田優です」 「今野弘です」 「ベースのボーカルって珍しいわよね、素敵な歌声だったわよ。ドラムも力強くて良かった」  はにかむ優さん。それに対して弘は照れているのか下を向いて黙ってしまった。 「はっちから聞いたわよ、入賞できるといいわね」  俺はギクリとした。  ステージでの失敗が頭に浮かぶ。俺のせいで、入賞は……。
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