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 そう言うと猫又は、ぐるにゃぐるにゃと喉を鳴らしながら仰向けになった。 真っ白な腹の毛がふわりと冷房の風に揺れる。猫又は何とも言えない自然な上目遣いで、ホレホレと俺を見上げた。   「こ、これは……」  動画サイトのショート動画でよく流れてくるやつだ……。くねくねと身体を動かして、猫又はアピールしてくる。それを見た俺は手を伸ばしかけ……その手をひっこめた。 「損な奴だね、きみは」  その猫又はむくっと起き上がると、部屋に置いてあったクッションに腰を掛けた。 「僕は君に危害を加えるために、ここに来たんじゃないんだ」  猫又は言った。 「……じゃあ、何のために?」  俺はわけが分からないので、素直に問いかけた。
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